『South China Morning Post』紙に興味深い記事が出ました。「中国の半導体ドライブが武漢で停滞。ハイテク生産能力のギャップを露呈」というタイトルですが、200億ドルの半導体工場の建設工事が資金不足で止まってしまった、というのです。
中国の半導体工場建設が止まったな最新の事例であるとのこと。
この工場は『武漢弘芯セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー』(HSMC)所有なのですが、「州の半導体ハブ」を目指していたにもかかわらず、建設開始から2年後の現在も鉄骨をさらしたままなのです。この工場建設は、『Global Foundries』と成都市によってセットアップされたものだったのですが、計画は水泡に帰したようです。
同記事では以下のような面白いエピソードを紹介しています。
『HSMC』は、オランダ企業『ASML』からの初めてのチップ製造装置の購入を祝うために12月に注目のイベントを開催しました。しかし、地方銀行から5億元以上を借りるために新しい機械を担保にしたのです。
⇒参照・引用元:『South China Morning Post』「中国の半導体ドライブが武漢で停滞。ハイテク生産能力のギャップを露呈」(原文・英語/筆者(バカ)意訳)
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による(以下同)
また、中国企業『TACOMA』(タコマ:徳科碼南京半導体科技)が香港法人を通じて約30億ドルを投資して半導体製造工場を造るという話だったのですが、2020年07月にはこれが資金ショートで破産しています。
『South China Morning Post』は同記事で以下のように指摘しています。
(前略)
07月下旬、北京は28ナノメートル以下のチップを生産できる企業に10年間の法人税減税を導入した。また、設計からパッケージングに至るまでの半導体サプライチェーン全体に対する税制優遇措置も拡大した。しかし、中国の主要技術や部品の供給格差を縮小するための努力は、ほとんどの場合、軌道に乗っていない。
(後略)
つまり、まあかくの如しで中国の半導体自給計画はうまく進行しているとは決していえない、というわけです。自由主義陣営でこれから中国に半導体工場を造ろうなんてもの好きはまあいないでしょうから(合衆国から制裁を受けますので)、資金の流入も期待できません。
韓国企業が飛び込めば面白いことになるでしょうが、さすがにそこまで愚かなことはしないでしょう。もうお金を突っ込んじゃって逃げられない企業はありますが。
(吉田ハンチング@dcp)