韓国の国策銀行である『産業銀行』が合衆国の債券市場で2億ドル規模の債券を発行していたことが分かりました(2020年09月14日公表)。韓国政府、国策銀行がここにきてなぜか外貨の調達に動いています。
韓国政府は外平債で「14億5,000万ドル」調達
先に韓国政府が14億5,000万ドル規模の「外国為替平衡安定基金債券」(略称「外平債」)を発行して外貨を入手した件をご紹介しました。
このお金は「外国為替平衡安定基金」に入り、「為替介入の資金」になります。
ウォン安を阻止するためには「ドルを売ってウォンを買う」作業が必要で、そのため外貨が要りますけれども、Money1で連日お伝えしているとおり現在はリスクオンでウォン高に向かっています。ですから「ドル調達だ!」と動く理由が不明です。
先の記事でもご紹介しましたが、外平債発行でドルを調達する動きいついては韓国メディアからも「なんで?」と疑問が呈されていたのです。
アジア初かもしれませんが「なぜ今?」
韓国政府に続いて国策銀行『産業銀行』です。規模は2億ドルとさほど大きくありませんが、「アジア初の『SOFR連動債』」だったためでしょう。初めての試みでおっかなびっくりだったわけです。
「SOFR」というのは「『LIBOR』(ライボー)の代わりに使いましょう」となっている、まあ一種の目安となる金利です。難しくいいますと「担保付翌日物調達金利(たんぽつき よくじつもの ちょうたつきんり)」※となります。面倒くさい方は飛ばしてください。
この『産業銀行』の債券発行について報じた韓国メディア『ソウル経済』の記事から以下に引用します。
『産業銀行』はSOFRの本拠地である米国市場で、アジア初のSOFR連動外貨債券を発行した。今年第4四半期に予定され、グローバル・ボンドの発行の際にも肯定的な影響を与えると予想している。
『産業銀行』の関係者は、「今回の発行を通じて、韓国系機関のさまざまな債券市場への参入に貢献し、同機関の海外借入時に有利な条件を造成することができる」とし「今回のSOFR債券はSOFR導入SOFRベースの変動金利債券発行などを準備する機関に参考事例として活用することができると考えられ、今後も韓国系機関の前に有利なベンチマーク提示などのために努力する」と明らかにした。
⇒参照・引用元:『ソウル経済』「『産業銀行』SOFR債券2億ドル発行成功」(原文・韓国語/筆者(バカ)意訳)
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による
2020年第4四半期にも債券を発行する予定ですし、今回の調達がうまくいったのでどうも「後に続け!」的な雰囲気になっております。
ここにきて政府、政府系金融機関が外貨調達に乗り出しているわけですが、韓国の外貨の流動性は十分なのでしょうか。
※「SOFR」はSecured Overnight Financing Rateの略。至極ざっくりいうと「米国債を担保にしてお金貸してよ、明日返すからさぁ」という取引で使われる金利(レート)のことです。
この取引では、米国債を貸し手に買い取ってもらい、その代金を受け取るという形でお金を調達します。翌日が期限で、その米国債を買い戻して借りたお金を返し、その際に金利を支払います。この金利のことを「担保付翌日物調達金利」といいます。
(柏ケミカル@dcp)