韓国の文在寅大統領は「2050年にカーボンニュートラルを達成する」と宣言しました。
もともとクリーンエネルギー政策を推進していましたのでこれ自体は特に驚くに値しませんが、問題は達成するためのプランです。
文大統領は「石炭火力発電所を2034年までに30基以上廃止、原子力発電所は段階的に全廃」と考えを表明しています。
シミュレーション結果は、シンクタンクや研究施設によって違うのですが、韓国の場合、環境省が「2050年長期低炭素発展戦略」(「LEDS」と略しています)というプランを発表しています。
2050年には、太陽光発電や風力発電で必要な発電量の6割を賄うという無茶な計画なのです。また、発電量のシミュレーションですが以下のようになります。
2019年 | 2034年 | |
原子力発電 | 23.3GW | 19.4GW |
LNG火力発電 | 39.7GW | 60.6GW |
石炭火力発電 | 36.8GW | 29.0GW |
再生可能エネルギー | 15.8GW | 78.1GW |
2034年には、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーによる発電で「78.1GW」を見込んでいます。2019年の「15.8GW」の「約5倍」(4.94倍)です。
文大統領は先に「太陽光発電の規模を現在の3倍にする」などと脳天気な宣言をしましたが、これを凌きます。
つまり、これぐらいの伸びを見込まないと「2050年のカーボンニュートラル」は実現できないのです。果たしてこれは可能でしょうか?
いいえ、全く現実的ではありません。
韓国はそもそも再生可能エネルギーの利用には向いていない国なのです。本件を報じた韓国メディア『韓国株経済』には以下のように書かれています。
(前略)
韓国の再生可能エネルギーの割合が低いのは、日照量と風が少なく、山が多いからである。今後も再生可能エネルギーの割合が急速に高まることを期待するのは難しい。
(後略)
日照量と風が少ないのに、なぜ再生可能エネルギー発電に力を入れているのでしょうか。まずこの時点で世にもあほらしい話です。
さらに原発を「0」にしようという文在寅政権の動きについて、同記事では以下のようにソン・ヤンフン教授(前エネルギー経済研究院長)の意見を紹介しています。
「温室効果ガスを排出しない原子力発電所なくしてカーボンニュートラル目標の達成は不可能である」
「原発と石炭発電を全て再生可能エネルギーに置き換えると、いくら少なく見積もっても年間発電コストが100兆ウォンを超える」
というわけで、韓国文大統領がぶちあげた「2050年カーボンニュートラル宣言」は恐らく実現できません。
(柏ケミカル@dcp)