韓国『大韓航空』による『アシアナ航空』買収の件です。『韓進KAL』と敵対する『KCGI』(私募ファンドの運用企業)が、新株発行禁止の仮処分申請を行っているため、資金スキームが崩れようとしています。
今回の資金スキームは目論見では以下のようになっています。
②『韓進KAL』はこの8,000億ウォンも利用して、『大韓航空』が実施する2兆5,000億ウォンの有償増資に参加(『大韓航空』への支配権が弱まらないようにするため)
③『大韓航空』は入手した資金で『アシアナ航空』の株式を取得し、最大株主となる。1兆8,000億ウォン投入予定
これを行うと、『韓進グループ』趙会長一族の支配権が強まると考える『KCGI』は、①の有償増資での新株発行をできないようにと申請しているのです。
①が止まると②③も行えず、このM&Aが実現できなくなります。
「絶対に邪魔はさせない!」と政府が腕まくりをして乗り出す――という記事が韓国メディア『毎日経済』に出ました。以下に記事の一部を引用します。
政府が『大韓航空』と『アシアナ航空』合併の過程で発生する不協和音を遮断するために腕まくりだ。
趙源泰(チョ・ウォンテ)韓進グループ会長と経営権紛争中のプライベート・エクイティ『KCGI』が出した『韓進KAL』新株発行禁止仮処分申請が裁判所で受け入れられると、航空業の再編が失敗に終わるかもしれないという懸念でサポートに乗り出したのだ。
都圭常(ト・ギュサン)金融委員会副委員長は、26日の「第30回金融リスク対応会議」で「(両社合併)投資構造に一部懸念が出ている(『KCGI』の新株発行禁止申告のこと:筆者注)が、国有化を防止し、効率的な管理を通じた国内航空産業の早期正常化のためには避けられない選択だ」と述べた。
(後略)
つまり、『KCGI』がどんなに反対しようが、『大韓航空』と『アシアナ航空』の合併は不可避だ!といっているわけです(「国有化もダメ」だとも)。
政府の考えは分かりますが、司法の判断は独立しているのですよね?
(吉田ハンチング@dcp)