【韓国の外貨準備】4,565億ドルで過去最大ですが市中銀行の準備預金で増えたと説明

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2021年06月03日、『韓国銀行』から「2021年05月末時点での外貨準備」が公表されました。以下になります。

外貨準備高:4,565億ドル(約50兆963億円)※1
(前月比:42億ドル増加)

<<内訳>>
⇒Securities 4,140億ドル(約45兆4,324億円)
(証券類)
前月比:20億ドル増加

⇒Deposits 294億ドル(約3兆2,264億円)
(預金)
前月比:22億ドル増加

⇒SDRs 35億ドル(約3,841億円)
(IMFのSDR(特別引出権))
前月比:増減なし

⇒IMF position 46億ドル(約5,048億円)
(IMFリザーブポジション)
前月比:1億ドル減少

⇒Gold 48億ドル(約5,268億円)
(金)
前月比:増減なし

※1円換算は2021年06月03日「1ドル=109.74円」のレートで算出

『韓国銀行』は今回の外貨準備の増加について以下のように説明しています。

金融機関の準備預金の増加、ドル安による他の外貨資産の米ドル換算額の増加、外貨資産運用収益が増加したことなどに起因

⇒参照・引用元:『韓国銀行』公式サイト「2021年5月末の外貨準備高」

先に『中国人民銀行』が銀行の外貨準備預金の率を上昇させた件をご紹介しましたが、奇しくも同じ話が出てきました。「準備預金」です。

これは、金融機関が危機時に備えて積んでおくお金です。外貨預金総額の一定の率の外貨を中央銀行の当座預金口座に預けておかなければならないのです。

『中国人民銀行』はこの率を引き上げて、銀行から外貨を吸い上げたわけです(その分外貨の流動性が減る)。

『韓国銀行』は金融機関が外貨準備預金を増やしたので外貨準備も増えたといっています。

なぜこんなことになるかというと、まず以下をご覧ください。

貸借対照表」です。面倒くさいものが出てきたかと思われるかもしれませんが、すぐに終わりますの少しだけご辛抱ください。

貸借対照表の「資産の部」と「負債及び純資産合計」の両方の金額は合っていなければなりません。

『韓国銀行』の貸借対照表を考えてみましょう。韓国の金融機関から準備預金として外貨が入金された場合、どうなるかというと、これは『韓国銀行』の「負債」になります。返さないといけないお金ですので。

ちなみに、これは私たちが銀行にお金を預ける場合も同じで、銀行預金は銀行にとってみると利子を付けて返さなければならない負債です。そのため銀行業を始めた企業は、皆さんが預金を入れれば入れるほど負債が増加するということになります(『楽天』がいい例)。

で、負債が増えると同時に資産の部に現金(流動性資産)が同額入るわけです。これで貸借対照表の左右が合いますね。

その上で、資産の側だけ見ると、資産は金融機関の入れた準備預金の分だけ増えて見えます。外貨準備というのはそもそも資産の部だけ見るものなので、このようなことが起こるのです。

それで外貨準備が増えたといっているのですが……確かにそのお金は『韓国銀行』の口座にあり、緊急時にはスグに使えるでしょう。しかし、本来負債であって、よその銀行のお金なのですよ、それは。

どのくらいの金額が準備預金で増えたのかは不明ですが、上記のとおり外貨準備は資産の部しか見ていないものなので、このように公式発表から観察するだけでは中は本当に不透明です。

(吉田ハンチング@dcp)

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