アメリカ合衆国の上院で可決された「US Innovation and Competition Act of 2021(合衆国イノベーションおよび競争法)があまりにも強烈な内容であるため、さっそく中国が猛烈に反発しています。
中国共産党の英語版御用新聞『Global Times』も一面トップで記事を上げています。
↑「China hits back at US competition bill」(中国は合衆国競争法に反撃する)という記事をトップ中央に掲載
トップ記事「中国は合衆国競争法に反撃する」から一部を引用します。
この法案は「中国の脅威」をあおり、合衆国政府に、いわゆる知的財産の「盗用」や強制的な技術移転に関して中国の国有企業を標的にするよう指示している。
合衆国政府は、合衆国の企業秘密を盗んだ中国の企業や個人に対して制裁を課し、同盟国と協力して知的財産を使った商品の輸出を阻止するよう指示している。
この法案には、いわゆる人権問題や、中国北西部の新疆ウイグル自治区に対する捏造された「ジェノサイド」への非難を理由に、2022年の北京冬季オリンピックへの合衆国政府関係者の出席を禁止することも含まれている。
中国外務省の報道官は、この法案を中国の内政への干渉と表現し、合衆国に法案の停止を求めました。
(中略)
この法案は現在、合衆国下院で可決された後、ジョー・バイデン米大統領のデスクに届けられる予定だ。
法案が採択されれば、合衆国が拡大を続ける対中封じ込め作戦の重大なエスカレーションとなるだろう、とアナリストたちは指摘する。
「中国国際貿易協会専門家委員会のLi Yong副委員長は、水曜日に『Global Times』に語った。「この法案が採択されれば、合衆国の中国に対する政治的行動が立法的介入にまで発展し、中国に対する一連の制裁やその他の懲罰的行動につながる可能性がある。
(後略)
中国共産党はこの法案を正しく認識しています。内政干渉かどうかはともかく「イノベーション・競争法」は中国共産党を沈めるための全部入りの法案なのです。
また、中国共産党の反撃について以下のように書いています。
合衆国議会の競争法に関する手続きと並行して、中国共産党常務委員会は木曜日に終了する予定の会期中に、独自の反外国制裁法の草案を検討している。
『中国中央電視台』(CCTV)によると、この法律は、中国が差別的な措置に対抗するための強力な政治的支援と保証を提供するものであり、それは「誰かに自分の薬を味あわせる」ことであると、NPC常務委員会法制委員会のスポークスマンは述べている。
(後略)
というわけですので、合衆国の法案に反撃する法律を準備中とのこと。どのような内容になるのか注目です。1,445ページにもなる「イノベーション・競争法」ですので、いちいち対応する章・節を作るには時間がかかりそうなものですが、中国共産党のことですから細則は後回しにして、大枠部分だけ先に法律にしてしまうかもしれません。
⇒参照・引用元:『Global Times』「China hits back at US competition bill」
(吉田ハンチング@dcp)