APEC(Asia-Pacific Economic Cooperationの略:アジア太平洋経済協力)首脳会議が開催されましたが、首脳宣言が採択されないという前代未聞の事態となりました。APECはアジア太平洋地域の21カ国と地域が参加している「経済協力の枠組み」ですが、世界全体のGDPの約6割を占めるという規模を誇ります。
APEC首脳会議がまとまらなかったのはアメリカ合衆国と中国の対立によります。一部で合衆国と中国の貿易戦争がそろそろ落ち着くのでは?といった観測がありますが、それは甘すぎる見方といえます。中国は為替操作も含めて自国の経済発展しか考えず、欧米先進国(日本も含む)から先端技術を盗用する姿勢を変えてはいません。
口では「これからは知的財産権に留意する」なんて言っていますが、行動には移してはいませんし、いまだに外国資本に制度で圧力をかけ、資金を持ち出させないようにしています。これで合衆国側に折れろというのがそもそも無理です。合衆国が中国の主張を容れるわけはなく、たとえ会合が持たれても全くの平行線でしょう。
すでに「新冷戦」なんて言葉も登場していますが、冷たいだけでなく「熱い小競り合い」が起こる可能性も秘めていると考えた方がよいのではないでしょうか? 南シナ海の基地化問題、そして台湾の扱いがその火種になる可能性があります。
(柏ケミカル@dcp)