2022年02月07日、『韓国銀行』から2022年01月時点での外貨準備高が公表されました。
毎度おなじみの中身についての話は、別記事にいたしますが、結論からいえば3カ月連続で減少です。
3カ月連続で減ったというので韓国メディアが騒いでいます。先にその件について記事にいたします。
『韓国銀行』の公表によれば、2022年01月時点での外貨準備高は4,615億ドル(正確にいえば4,615億3,000万ドル)でした。
で、2021年01月から公表された2022年01月までの推移を見ると以下のようになります。
⇒データ出典:『韓国銀行』公式サイト
確かに、2021年10月の「4,692億ドル」を頂点に、「11月:4,639億ドル」「12月4,631億ドル」「2022年01月:4,615億ドル」と3カ月連続で減少しました。
この減少について韓国メディアでは「危険灯」などと表現しているのですが、本当に4,000億ドルを超えているのであれば問題はないはずです。
なぜなら、ドル不足でドボン寸前だった2020年03月も、アメリカ合衆国『FRB』(Federal Reserve Boardの略:連邦準備制度理事会)と締結したスワップラインの利用額は、結局「約200億ドル」で済みました。
韓国が公表している外貨準備※が、『IMF』(International Monetary Fundの略:国際通貨基金)が定義するところの外貨準備、すなわち
②金融当局がいつでも使用可能な(readily available to and)、
③金融当局がコントロールできるもの(controlled by monetary authorities)
というもので、それが公表どおり4,000億ドルを超えているのであれば問題はないはずです。
200億ドルぐらいひねり出せないとおかしいです。本当に使えるものならば、です。
もちろん、ドボン寸前だった2020年03月にも4,000億ドルを超えており(正確には「4,002億ドル」)、それでもドル流動性スワップ(韓国側の呼称は「米韓通貨スワップ」)にすがったわけですが(なぜ合衆国に泣きついて約200億ドルの融資を受ける必要があったのでしょうか)。
ただ、韓国メディア『毎日経済』の指摘は面白いところを突いています。
韓国の外貨準備高は、『IMF』の定義する適正な外貨保有高の基準を割った――という指摘です。
「韓国の外貨準備高は足りない!」という指摘
記事から一部を以下に引用します。
(前略)
07日、毎日経済が『国際通貨基金(IMF)』基準で、最新の外国為替保有額※統計を分析した結果、韓国の外国為替保有額適正線が崩壊したことが分かった。『IMF』は、
△年間輸出額の5%
△市中通貨量(M2)の5%
△流動外債の30%
△外国人証券及びその他投資金残高の15%等を合わせた金額規模の100~150%水準を適正外国為替保有額として計算する。
ところが、2020年基準の韓国の外国為替保有額の割合は99%で、関連統計が集計された2000年以降、初めて100%線の下に沈んだ。
Money1でもこの『IMF』の定義する外貨準備の適正水準についてご紹介したことがありますが、『毎日経済』の試算によれば、韓国の外貨準備高は『IMF』基準に満たなくなっているとのこと。
これは大変に面白い指摘です。
『毎日経済』はこれに併せて(通関ベースですが)貿易赤字も2カ月連続で、国家の信用が下がったらどうするんだ――と書いています。
ビビり過ぎでしょう。
下がったといっても「1%」ですし、4,000億ドル超が『IMF』の定義どおり、本当にスグに使える状態なら問題はないはずです。「本当にある」ならば。
※面白いことに、『韓国銀行』が韓国語で公表する「外貨準備」は「為替保有額」に変更されています。ここに何か意図はあるのでしょうか。英語版は「Official Foreign Reserves」で変わっていません。
(吉田ハンチング@dcp)