コロナ禍で景気が底といわれた2020年よりももうけが減ったじゃないか!という話です。
『韓国銀行』が2022年02月10日に2021年12月末時点での国際収支統計を公表しました。これで暫定ながら2021年が締まったわけです。
非常に面白い結果となっているので、以下の「経常収支」と「貿易収支」の推移(2010~2021年)をご覧ください。
青い線が経常収支、オレンジの線が貿易収支です。まずオレンジの貿易収支をご覧ください。
「貿易収支」は「輸出 - 輸入」で求めますが、「貿易でいくらもうけたのか」を示す韓国にとっては最も大事な数字です。
2020年は806億ドルあったのに、2021年は762億ドルに減りました。
コロナ禍の中景気が底といわれた2020年よりも、あれだけ文在寅政権が「回復だー!」と大声を張り上げた2021年の方が貿易のもうけが「43億9,760万ドル」も少なかったのです。
「約5.5%」の減少です。
経常収支の方が上に来るだと?
また、2021年はこれまでになかった特徴が表れています。
上掲グラフの赤丸で囲んだ部分をご覧ください。
青の経常収支がオレンジの貿易収支の上に出ています。
2020年以前を見ていただけば分かりますが、韓国の場合、普通は貿易収支は経常収支よりも多いのです。
経常収支は、
サービス収支
第1次所得収支
第2次所得収支
4つの合計ですが、韓国の場合には、貿易収支よりも経常収支の低くなるのが普通です。
つまり、「サービス収支」「第1次所得収支」「第2次所得収支」の3つを足すとマイナスで、貿易収支よりも経常収支が小さな金額になってしまうのです。
これが、韓国が「十分大きな貿易収支がないと経常収支が赤字になる」理由です。
ところが、2021年は貿易収支よりも経常収支の方が大きいという逆転現象が起こりました。これはなぜかといいますと、以下のように、
第1次所得収支:193億2,820万ドル
第2次所得収支:-41億2,490万ドル
小計:120億9,500万ドル
3つを足して珍しく大きめな黒字になったためです。この黒字は、人の移動が制限されていることなどを理由にサービス収支の赤字が少なくて済んだこと、これまでの投資が実って第1次所得収支が大きく増えたことが原因です。
これによって、貿易収支よりも経常収支の方が多いという非常に珍しい状態となりました。ただし、このような状態が続くかはまだ分かりません。
(吉田ハンチング@dcp)