【速報】韓国「カタール100隻計画」本発注が6隻来た!本当に赤字になりませんか?

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↑2009年に『大宇造船海洋』がカタールに納品した超大型LNG運搬船。PHOTO(C)『大宇造船海洋』

例の「LNG運搬船を100隻受注したけど、どうするのコレ」の件です。

韓国大手造船企業3社は、2020年にカタールと100隻のスロット契約を交わしたのですが、本発注はまだという状態でした。また、鋼板価格の上昇によって赤字が見込まれるため、100隻分の赤字を積み上げるのか!――となっていました。

下掲の記事でもご紹介しましたが、韓国大手造船企業は契約を締結したカタールの国営エネルギー会社『カタール・ペトロリアム』(「QP」と略します)に価格面での条件について泣きついており、仕方がないので産業通商資源部も交渉に乗り出していました。

「韓国がLNG船100隻受注で大損」問題。泣きつくもカタールは門前払いの構え
「カタールからLNG(液化天然ガス)運搬船を100隻受注した!」と誇らしく喧伝したのに大失敗――という話の続きです。安値受注の報いがきています。100隻受注ジャックポットの裏側2020年06月01日、カタールの国営エネルギー会社『カタール・...

『大宇造船海洋』が4隻受注で「やる」ことに!

さてどうなることやら……だったのですが、2022年06月07日、『大宇造船海洋』がプレスリリースを出しました(以下)。

大型カタールLNGプロジェクトで最初の契約締結

『大宇造船海洋』がカタールLNGプロジェクトでLNG運搬船4隻を受注し、歴史的なカタールプロジェクトの最初の一歩を踏み出した。

『大宇造船海洋』(代表取締役パク・ドゥソン)は、『Hライン海運』(コンソーシアムリーダー)、『ファンオーシャン』、『SK海運』で構成された韓国コンソーシアムから、17万4,000㎥級LNG運搬船4隻を受注したと7日明らかにした。

これらの船舶は玉浦造船所で建造され、2025年第1四半期まで船主側に引き渡され、カタールエネルギーのノースフィールド拡張プロジェクト(North Field Expansion Project)に投入される予定だ。

今回受注したLNG運搬船は17万4,000㎥級の大型LNG運搬船で、低圧二元燃料推進エンジン(ME-GA)と再液化設備が搭載され、大気汚染物質の排出を大幅に減らすことができる環境に配慮した船舶だ。

実際、『大宇造船海洋』が今年受注した船舶22隻はいずれも二元燃料推進船舶だ。これと共に、効率的な船舶運営のために会社のスマートシップソリューションであるDS4など最新技術が適用される予定だ。

世界最大のLNG生産国であるカタールは、年間LNG生産量を既存の7,700万トンから1億2,600万トンに拡大する増産事業を進めている。

この一環として、去る2020年カタールエネルギーは大宇造船海洋とLNG運搬船の船表予約合意書を締結した。今回の契約は、先表予約合意書により建造される最初の船舶で、今後追加受注も期待される状況だ。

LNG運搬船分野で世界最高の技術力を持つ『大宇造船海洋』は、実際、2004年から2007年まで行われたカタールプロジェクトでも、全体53隻の半分に近い26隻を受注して成功裏に導いたことがある。

また、年間20隻のLNG運搬船の造船能力を保有しており、大規模プロジェクトを進行するのに最も適した造船所で、船主たちには定評がある。

『大宇造船海洋』は「『大宇造船海洋』の技術力を信じて選択してくれたカタールエネルギーに感謝する」とし「カタールエネルギー-カタールガス-韓国コンソーシアムと協力し、成功裏にプロジェクトが進行することを祈念する」と述べた。
(後略)

⇒参照・引用元:『大宇造船海洋』公式サイト「大宇造船海洋、カタールLNG運搬船4隻契約締結」

スロット契約にあった100隻のうち最初の4隻の本発注が来た――と述べています。

『大宇造船海洋』は「赤字を積み上げるだけじゃないの」という下馬評のプロジェクトに取り込むようです。

この『大宇造船海洋』自身のプレスリリースには、当然ですがカタール側との交渉がどうなったのか、1隻いくらになったのかは書かれていません。

先にご紹介したとおり、『亜州経済』の記事によれば「1隻:1億9,000万ドル」(約1億8,600万ドルの報道あり)で造れという契約だったはずですが、『大宇造船海洋』が「やる」としているということは、『QP』に泣きついてなんとかなったのかもしれません。

ただし、本件を報じた『毎日経済』の記事によると、今回の受注金額は4隻で「1兆734億ウォン」と報じています。

ということは、1隻当たり「2,683.5億ウォン」。これを現在のレート(1ドル=1,255ウォン:2022年06月07日17:45)でドル換算すると「2億1,382万ドル」になります。

『亜州経済』の報道にあった「1億9,000万ドル」が正しいのであれば、契約書より「2,382万ドル」積んでもらったことになります。

もし本当なら、泣きついた甲斐があったというところでしょうか。

ただし……問題はこれで利益が出るのかどうか、です。

本当に赤字にならないですか?

先にご紹介したとおり、韓国メディアによると現在LNG運搬船の1隻当たりの平均単価は「2億2,500万ドル」です。

つまり「2億1,382万ドル」では平均単価より「1,118万ドル」安く造ることになります。

そもそも韓国の造船業の利益率は5%といわれますので、現在の平均単価「2億2,500万ドル」に95%をかけて(乱暴ながら)原価を出してみると「2億1,375万ドル」です。

ということは、泣きついて「2億1,382万ドル」にしてもらったのだとして、1隻造ると「7万ドル」の黒字です。

乱暴な計算ですが、スレスレの黒字です。

『毎日経済』の記事では、

(前略)
造船業界関係者は「大規模受注による設計コストの削減、安定的な受注による営業費用の削減などを勘案すると、一部で懸念するように逆マージンは発生しない見通し」と説明した。
(後略)

⇒参照・引用元:『毎日経済』「大宇造船・現代重、カタールLNG船プロジェクト6隻初契約」

と赤字にはならないと造船関係者が話しているのですが、果たして本当にそうなるのでしょうか。

――というわけで、カタールLNG運搬船100隻計画が面白いことになって参りました。結果は、『大宇造船海洋』のこれからの業績に表れるでしょう。

ご期待ください。

『大宇造船海洋』が4隻受注し、『現代重工業』が2隻受注したので計6隻の受注です。

(吉田ハンチング@dcp)

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