2023年01月01日、『韓国銀行』の李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁が新年の挨拶を行いました。
毎年恒例である中央銀行総裁の新年あいさつは結構重要で、前総裁の李柱烈(イ・ジュヨル)さんは「借金してまで株式投資なんかするんじゃないぞ」「KOSPIが3,300にいったらバブルだからな」などの示唆を与えてくれました。
さて、元『IMF』(International Monetary Fundの略:国際通貨基金)アジア・太平洋局長だった現李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁は何を語ったでしょうか。
以下が『韓国銀行』が出したプレスリリースです。要点を和訳してみます。
李昌鏞(イ・チャンヨン)『韓国銀行』総裁は、2023年新年のあいさつで今年韓国経済の内外に高い不確実性が続く中、金利引き上げの影響が本格化し、物価・景気・金融安定間の相反の可能性が高くなるので、洗練された政策取り組みがこれまで以上に重要な1年になると述べた。
o特に国際貿易のセグメント化、高い金利水準などが今後、韓国経済の難しさを加重させることができるが、視点を異にしてみると、これまで続いてきた中国経済への高い依存度、不動産関連金融などの構造的問題を解決するきっかけになる可能性があることにも言及しました。
□これにより、韓国銀行は蓄積された経験とバランスのとれた視点に基づいて、洗練された政策対応を通じて韓国経済の軟着陸に貢献しなければならないことを強調した。
o韓国銀行は、国内外の金融・経済状況についてより正確に判断し、予測することができなければならない。
o政策面では、物価が目標水準を上回る上昇を続けると予想されるだけに、通貨政策は物価安定に重点を置いた政策基調を持続する中で、金融・外国為替市場の安定にも格別に留意すべきだと明らかにした。
□また、今年は組織革新案を本格的に実施するだけに、行員が組織文化の改善と内部経営の革新に積極的に参加して実質的な成果を収めることを求めた。
⇒参照・引用元:『韓国銀行』公式サイト「韓国銀行総裁の2023年新年挨拶」
韓国が対中国貿易でもうからなくなっていることが大問題ですが、李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁は、中国に依存してきた貿易構造を変えるきっかけにしよう、と述べています。
言うのは簡単ですが実行は難しいといえます(もちろん李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁は百も承知のはず)。
また、物価安定を優先的に考えるとも述べていますので、(12月の消費者物価指数は5.0%といまだ高い水準にあんることを考えると)金利は上げ方向であることを確認したことになります。韓国の流動性を絞る方向に変更はありません。
となると、来る2023年01月13日の金融通貨委員会では利上げを行うと見なければなりません。
「韓国経済の軟着陸」と述べているのが面白い点で、「韓国経済は危ねーぞ」という意識を自明のこととしているのがうかがえます。
李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁率いる『韓国銀行』のお手並み拝見です。
(吉田ハンチング@dcp)