日本『読売新聞』が「いい質問」を中国にぶつけてくれました。まず、以下をご覧ください。
『読売新聞』記者:
モロッコで開かれている『IMF』『世界銀行』年次総会で、IMF増資の方式が話し合われています。アメリカ合衆国側は、各国が既存の出資比率を変えることなく、等しい比率で増資する合意を推し進めようとしている。 『IMF』における各国の議決権は、出資額によって決まります。中国はこれに賛成ですか?
汪文斌:
中国は、IMFのクォート制改革は、クォートの増額とクォート・シェアの調整によって行われるべきです。クォート制という『IMF』の性格を反映し、世界経済における加盟国の相対的地位をよりよく反映し、新興市場国や発展途上国の発言力と代表性を高めるべきであると、常に考えてきました。
クォータ(Quota)というのは、簡単にいうと「出資割当額」を指します。『IMF』という組織における議決権(投票権)の割り当ては、クォートによって決まります。
つまり、基本的には多く出資した(『IMF』のお金を出した)国については議決権が多く割り当てられて、発言力が大きいわけです。
ただし、ずいぶん前にご紹介したことがありますが、基本的には議決権が最も大きいのはアメリカ合衆国であり、システム上、合衆国の賛成がない議決は『IMF』では出ないようになっています。
時に「『IMF』は合衆国財務省の支店である」といわれるのはそのためです。
「財務省のポチ」ですね。
『IMF』を増資しようとしているのは、お金が足りないからです。加盟国がドボン騒動を起こすので、助ける『IMF』は大変なのです。
アルゼンチンなど「これで何回目だお前!」ですし、Topがイスラム原理主義的で利上げ・下げについて全く逆を行うトルコなど、あほらしくて面倒見きれません(渋々かつ小言・脅し込みで付き合っています)。
で、合衆国は増資はしたいのですが、自分の議決権を損なうような真似は御免なのです。
だからこそ「出資比率は変えないママに各国が増資すればいいよね」などと言っているわけです。
「いい気なもんだ」としか評しようがありませんが、汪文斌さんは、この虫のいい提案に対して上掲のように「異議アリ!」と言っています。
「世界経済における加盟国の相対的地位をよりよく反映し……」は、まさに「中国に議決権をもっと寄こせ!」と言っているのと同じです。合衆国からすれば「そんなことするわけないだろーが!」です。
もう何度だっていいますが、そもそも中国の『IMF』加盟を認めたのが大失敗です。今になって「中国はやっぱり敵対者だ」となってドタバタしているのは、そのせいです。
↑YouTube『日テレNEWS』チャンネル「【モロッコでIMF・世銀総会】“サプライチェーン多角化”へ新しい枠組み立ち上げ表明」
上掲の動画では、中国が握っている主に資源関連のサプライチェーンを多角化する(要は中国外し)のための新しい取り組み「RISE」について報じています。日本は2,500万ドルを拠出することになります。
グローバルな機関から中国を外してしまおう、というのは当然です。なにせ無法者で言うことを聞きませんので。『IMF』を巡る改革プランがどうなるのか、ぜひご注目ください。
『WTO』の方でも始まりますよ!
(吉田ハンチング@dcp)