韓国『サムスン重工業』4.8兆の契約がチャラ。ロシア企業から「手付金8億ドル返せ」と要求される

広告
おススメ記事

2025年06月18日、韓国の造船企業最大手の一つ、『サムスン重工業』が『DART』に興味深い公示を出しました。

まず、以下をご覧ください(面倒くさい方は次の小見出しまで飛ばしてください)。

単一販売・供給契約の解除

1. 販売・供給契約の区分
区分:その他の販売・供給契約
契約解除の名称:ブロック、記者材の設計

2. 解除内容
解除金額(ウォン):2,045,300,000,000
直近売上高(ウォン):6,860,300,000,000
売上高比(%):29.8
大企業との取引の有無:該当なし

3. 契約相手
契約相手の名称:ロシア地域の造船会社

4. 契約期間
開始日:2021-10-15
終了日:—

5. 契約の主な内容
船舶用構造物の設計供給契約

6. 契約解除日
2025-06-18

7. 公示遅延に関連する内容
遅延理由:—
遅延期間:—

8. その他投資判断に関する重要事項
(1) 関連内容
2025年6月18日、当社は2024年06月11日付でZvezda社(以下、「船主社」)が通知してきた違法な契約解除など、船主社の責任による事項を理由に、砕氷シャトルタンカー7隻に関する契約を解除するとともに、すでに受領済みの前受金2億ドルを留保し、留保した前受金を超える損害については船主社に賠償を請求する意思を通知した。

当社は、現在進行中のシンガポール国際仲裁の過程で、当社の直接的・間接的損害に対する賠償を積極的に主張する計画である。

(2) 進行経過
2021年10月15日、船主社から砕氷シャトルタンカー7隻に関するブロックおよび機材供給契約を受注。

2022年02月24日~2024年06月10日、アメリカ合衆国政府および大韓民国政府による対ロシア制裁および輸出統制措置の施行により、船主社がSDN(Specially Designated Nationals and Blocked Persons、特別制裁対象者)に指定されたことを受けて、進行中の設計工程を中断し、船主社との契約履行および維持の可否に関して双方の協議を行った。

2024年06月11日、船主社は協議が進行中である状況にもかかわらず、一方的に当社の契約不履行を主張し、上記7隻に対する契約解除を通告、併せて既に支払い済みの前受金(2億ドル)および遅延利息の支払いを要求。

2024年07月09日、当社はシンガポール仲裁裁判所に対し、船主社が通告した契約解除の違法性を確認するための仲裁を申請。

(3) その他
上記第2項の解除金額は、契約日の基準為替レート(1,188.3ウォン/ドル)を適用し、1億ウォン未満を四捨五入して算出したものである。

上記第2項の最近売上高は2020年末の連結財務諸表に基づくものであり、1億ウォン未満を四捨五入して算出したものである。
(3) その他
上記第2項の解除金額は契約金額の売上基準(1,188.38億/ウォン)を適用して算定した数値である。

上記第2項の直近売上高は2020年度の連結基準であり、外部監査人により監査されたもの。

関連公示
2024-06-12:臨時公示(映像提供)
2024-06-12:単一販売・供給契約の締結

『韓国金融監督院 公示システムDART』公式サイト

ロシア『ズヴェズダ』が『サムスン重工業』に手付金を返せ!

何が起こったのかというと――、韓国『サムスン重工業』が、ロシア『Zvezda(ズヴェズダ)』から、「砕氷シャトルタンカー7隻に関するブロックおよび機材供給契約」を受注したのですが、2022年にロシアが無法にもウクライナに侵攻。

この戦争に対して、アメリカ合衆国と韓国はロシアに対する制裁を発動。

そのため契約遂行が困難になりました。契約の履行に関する交渉および進展も中断されます。

制裁措置に反発したロシアは、2024年06月11日に「契約解除の意思」を通知。『サムスン重工業』に対して、「支払い済みの前受金(2億ドル)および遅延利息の支払い」する――としました。

実はもう1件あって、2020年11月20日に締結した「砕氷LNG運搬船10隻」の建造契約です(下掲)。

こちらもウクライナ戦争によって、履行が困難となり、同様に2024年06月11日、『ズヴェズダ』が契約解除を通知し、「支払い済みの前受金(6億ドル)および遅延利息の支払い」を要求しました。

『韓国金融監督院 公示システムDART』公式サイト

契約金額は2兆8,072億ウォン(2020年)と2兆453億ウォン(2021年)。総額は4兆8,525億ウォンになります。

これがチャラなって、『ズヴェズタ』からは計8億ドルの手付金の返還を要求されています。

――で、今回の2つの公示です。

『サムスン重工業』は契約の解除に踏み切ったというわけです。

また『サムスン重工業』は、2024年07月、シンガポール仲裁裁判所に『ズヴェズダ』の契約解約の違法性を確認するための仲裁を申請しています。

さらに手付金8億ドルの返還を保留し、これを上回る損失について損害賠償を行う――としました。

このドタバタが『サムスン重工業』の業績にどのくらいの影響を与えるか、が問題です。

(吉田ハンチング@dcp)

広告
タイトルとURLをコピーしました