先に、韓国政府が「?」なドル調達の仕組みを稼働させようとしている、とご紹介しましたが、本気だったようで2020年06月30日、『韓国銀行』と企画財政部はこのシステムの導入を発表しました。
以下のような仕組みです(イメージ図です)。
銀行、証券会社、保険会社などの金融機関が、保有する外貨建て債券を、「後で買い戻す」という条件で『韓国銀行』に売る
『韓国銀行』は外貨建ての債権の対価を銀行、証券会社、保険会社などの金融機関に支払う
(これで金融機関にドルが供給される)
一定期間が過ぎたら、銀行、証券会社、保険会社などの金融機関は『韓国銀行』から外貨建て債券を買い戻す
(このときに金融機関は利子も支払う)
『韓国銀行』が金融機関に提供するドルは外貨準備を利用するとのことです。また、当面この仕組みで使える「外貨建て債券」は「アメリカ合衆国の国債」で、満期は「88日」以内。
要は、「キミたちが持っている合衆国公債でドルを貸すよ!」という仕組みです。
『朝鮮日報(日本語版)』ではこの件を以下のように報じています。
韓国銀行と企画財政部は30日、米国債を担保にして、銀行、証券、保険などの金融機関にドル資金を貸し付ける新たな外貨流動性供給制度を導入すると発表した。
新型コロナウイルスによる危機でドル需要が急増した3月のような緊急状況が再び起きる場合に備え、市中にドルを供給する手段を整えた形だ。
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による(以下同)
気になるのは、ドルの流動性が危険水準になった場合、『韓国銀行』にドルはあるんですか?という点です。
去る03月19日に合衆国のFED(Federal Reserve Systemの略称:連邦準備制度)とスワップラインが締結されたらスグに巨額のドル調達に入ったわけで、またあの時と同様の世界的なドル高状況になったら、『韓国銀行』が保有するドルも少なくなっている可能性は決して低くありません。
韓国の外貨準備高は4,073億ドル(5月末現在)で、金融機関が保有する米国債と政府機関などが保有する対外金融資産は2,253億ドル(3月末現在)に達する。民間の対外金融資産は金融危機当時に比べ10倍近く増えた。
と『朝鮮日報』の記事にはありますが、『韓国銀行』の発表によれば韓国の外貨準備高は「02月末:4,092億ドル」「03月末:4,002億ドル」だったはずです。なぜ02-03月にアップアップで、あれほど「通貨スワップ」と連呼していたのでしょうか。
韓国の外貨準備に疑念を抱かせますし、『韓国銀行』にドルはあるんでしょうね、と思わせる仕組みでもあります。民間の保有する合衆国公債を吸い上げようとしてませんか?と邪推もしたくなります。
(柏ケミカル@dcp)