株式の取引について「ダークプール」という言葉が登場することがあります。英語で書くと「dark pool」ですので「暗いプール」。そこでは顔を見られずに泳ぐことができるのです。
この「ダークプール」は、一般の証券取引所を通さずに行う「取引所外取引」の一つです。
機関投資家やヘッジファンドが証券会社に注文を出すと、その取引を証券会社内で完遂するのです。
請け負った売・買注文を証券会社内部でつきあわせて決済するので、誰がどのような取引を行ったのかが社外には出ません。つまり取引の秘匿性、匿名性を高めることができます。
また、通常の取引所では呼び値が1円単位の株でも、ダークプール内では0.1円単位で注文を出すことができます。約定単価や約定率の面でダークプールの方が有利であることはいうまでもありません。
さらに、売・買がダイレクトに機関投資家・ヘッジファンド同士で折り合えばいいので、市場価格からの影響を受けずに取引を行うことができるのです。
このように、ダークプールのメリットは大きく、そのためダークプールでの取引は拡大しています。
しかし、一方でダークプールが市場の透明性を阻害していると批判も大きくなっています。ダークプールのおかげで流動性が明らかにならない、フェアではない、というわけです。
ダークプールはそもそも「dark pool of liquidity」を縮めたもので、「liquidity」は「流動性」という意味ですから、流動性の見えない部分、「見えざる流動性」「見えない流動性」とでも訳すのが妥当でしょうか。
ダークプールでは、株だけではなく各種金融商品、コモディティーなどを対象にさまざまな取引が行われています。
(柏ケミカル@dcp)