『朝鮮学校「歴史教科書」を読む』(祥伝社新書,2011年11月10日初版)という本があります。これは、以前からご紹介している萩原遼先生と井沢元彦先生の対談をまとめたもの。萩原先生は、アメリカ合衆国公文書館に眠っていた約160万ページもの合衆国が北朝鮮から奪取した文書を精査し、「朝鮮戦争は北朝鮮が奇襲攻撃によって始めたものである」ことを立証した方です。
現在ではソ連、中国からの資料もあり、朝鮮戦争が北朝鮮・金日成が起こしたものであることに疑いの余地はありません。
なのに北朝鮮はいまだに「米帝・李承晩が挑発した侵略戦争」といっています。
萩原先生は拉致問題の解決にも尽力された方でしたが、日本の朝鮮学校で使われている「歴史教科書」にも朝鮮戦争について北朝鮮の主張どおりのことが書かれているのを確認し、これは世に広く知らせなければならないと、朝鮮学校の「歴史教科書」の翻訳作業に取り組まれました。
その顛末や実際の内容について抄訳的に説明したのが『朝鮮学校「歴史教科書」を読む』です。では、朝鮮学校の「歴史教科書」は朝鮮戦争についてどう書いているでしょうか?
この本はぜひ未読の方にも読んでいただきたいので、冒頭のところだけ引用させていただきます。
米帝のそそのかしのもと、李承晩は1950年6月23日から38度線の共和国地域に集中的な砲射撃を加え、6月25日には全面戦争へと拡大した。
共和国政府はただちに李承晩「政府」へ戦争行為を中止することを要求し、もしも侵攻をやめないときには決定的な対策をとることを警告した。しかし敵は戦争の炎を引き続き拡大した。
(後略)⇒参照・引用元:『朝鮮学校「歴史教科書」を読む』(萩原遼・井沢元彦,祥伝社新書,2011年11月10日初版)p.164
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による
「李承晩」は当時の南朝鮮の大統領です。南朝鮮の大統領が(朝鮮戦争は06月25日開始なので)開戦の2日前に北朝鮮に対して砲撃を加え、これが戦争に拡大したと無茶苦茶、真逆のことをいっています。
北朝鮮からしかけた戦争であることを調査で確認した萩原先生が「朝鮮学校ではこんなウソを子供たちに教えているのか」と激怒されたのも無理はありません。
これは2011年の本なので、今朝鮮学校の「歴史教科書」がどのようになっているのかは分かりません。しかし、いまだに北朝鮮は「米帝・李承晩が挑発した侵略戦争」と言い続けています。現在の教科書には本当のことが書かれているのでしょうか?
(吉田ハンチング@dcp)