韓国は自営業者の窮地を救うために、「損失補てん法」を通過させるかどうかでもめています。これが成立すると「月27兆ウォン」要るので、国家債務が急上昇することが想定されます。
なにせ「国債を発行してそれを『韓国銀行』が引き受ければいいじゃないか」と財政ファイナンスの推奨を公言する与党議員もいるほどです。2021年中に国家債務が1,000兆ウォンに達する恐れがあり、あの洪楠基(ホン・ナムギ)副首相兼企画財政部長官も(本当は)やりたくない模様。
そこで、野党「国民の力」非常対策委員長から驚きの提案が出ました。
というです。
韓国の国家予算は「558兆ウォン」ですから、計算上は20%削れば「111.6兆ウォン」が捻出できることになります。
国債発行などで支援金の財源を作るのではなく、予算をカットしろという提案で、要は緊縮財政にしろといっているわけです。また、ちまちま支援金を出すのではなく100兆作ろうというわけです。
「大統領緊急命令」とは?
「大統領緊急命令」というのは、韓国の憲法第76条に規定されており、緊急時に大統領が発動できる大権の法的根拠です。
①大統領は、内憂・外国為替・天災地変または重大な財政・経済上の危機における国家の安全保障や公共の安寧秩序を維持するために緊急の措置を必要として、国会の集会を待つ余裕がないときに限り、最低限必要な金融・経済上の処分をし、またはこれについて法律の効力を有する命令を発することができる。
②大統領は、国の安危にかかわる重大な交戦状態において国を保衛するために緊急の措置を必要として、国会の集会が不可能なときに限り、法律の効力を有する命令を発することができる。
③大統領は、第1項及び第2項の処分または命令をしたときは、遅滞なく国会に報告し、その承認を得なければならない。
④第3項の承認を得られなかったときは、その処分または命令は、その時から効力を喪失する。この場合、その命令によって改正または廃止された法律は、その命令が承認を得られなかったときから当然効力を回復する。
⑤大統領は、第3項及び第4項の事由を遅滞なく公布しなければならない。
今回の主張は上掲の第一項を基に行えというのです。しかし、「国会の集会を待つ余裕がないときに限り」という発動条件からは外れていますし、たとえ行ったとしても結局事後に国会の承認を得る必要があります。得られなければその後に効力を失うと規定もされています。
また、今回の支援金の財源不足が「大統領緊急命令」を出すほどの「内憂・外国為替・天災地変または重大な財政・経済上の危機」に当たるかどうかも疑問です。野党ならではの現実味のない提案というべきではないでしょうか(与党も現実味のない提案をする国ではありますが)。
(吉田ハンチング@dcp)