合衆国・トランプ大統領が標榜する「アメリカファースト」は、とりもなおさず「世界各国がどうなろうとアメリカさえうまくいけばいい」という「アメリカ一強」政策です。そのため、同盟国だろうが何だろうが全方位で難癖をつけ、脅しつけています。
アメリカが勝てばいいというわけですから「ドル高」になるのは当然で、実際ドル高基調は続いています。しかし、10月10日付けのロイターの記事で面白いものがありました。世界を股に掛ける高利貸しIMF(International Monetary Fundの略:国際通貨基金)のリポートによれば、「世界各国の外貨準備に占めるドルの比率が下がり続けている」というのです。
仮に次の世界的な経済危機があったとして「各国(そして投資家たち)がドルに逃避するとは限らない」ことを示しており、つまりドルに対する信認の低下が起こっていると。これはトランプ政権が世界各国から信頼されていないのが一つの原因としています。
また、合衆国カリフォルニア大学のベンジャミン・コーエン教授の指摘を以下のように挙げています。
「第2次世界大戦以来、今ほどドルの信認が揺らいだことはない」
「同盟国を含むあらゆる国に次々とけんかを吹っかけ、従わなければ『炎と怒り』で報復すると脅しをかけるような国に、誰が好んでマネーを預けるのか。他により安全な投資先を探そうとするのではないか」
一応同盟国である日本の国民としては「まったくです」「あなたの国の大統領は本当にひどい」とうなずきたくはなります。しかし、外貨準備におけるドルの比率が低下しているのは確かですが、いまだ「約62%」もあります。これはドルへの信認が厚い証拠です。
また、どんなにトランプ大統領が嫌いでも、合衆国を憎んでいても、ドルが世界で唯一の覇権国家の通貨であることに変わりはありません。最後に頼りになるのがドルであるという認識は常識レベルで共有されています。「外貨準備におけるドルの比率低下」に政治的な意味合いを見いだすのではなく、他の合理的な説明を求める方が良いのではないでしょうか?
⇒参照記事・引用元:『ロイター』「焦点:世界の外貨準備、ドル比率の低下止まらず トランプ不信の声も」
https://jp.reuters.com/article/foreign-reserves-idJPKCN1MK0Y2?il=0
(柏ケミカル@dcp)