経済ニュースなどで「カード大乱」という言葉を見かけたことはないでしょうか? このカード大乱は、2003年に韓国で起こった経済的な混乱のこと。今回はこのカード大乱についてご紹介します。
日本をしのぐカード大量発行国に成長した韓国
韓国は1997~1998年の通貨危機によって事実上の「経済破綻」をしました。その後、政権を担った金大中大統領は通貨危機からの回復を目指すべく、国内金融市場の活性化を図るための金融政策をいくつも打ち出します。
その中の一つが、「クレジットカードの利用推進」です。それまで韓国ではクレジットカード市場にはいくつも規制が設けられていましたが、新しい政策を進めるために規制を緩和しました。
この影響で国内のクレジットカードの新規発行数は急激に増え、2002年には発行枚数が1億枚を突破します(1999年には発行枚数4,000万枚)。「国内金融市場の活性化のためとにかくカードを発行して国民にガンガン使ってもらおう」という思惑のとおりとなったのです。
その結果、韓国のクレジットカード市場は急成長を遂げます。このころから韓国は世界有数のクレジットカード大国といわれるようになり、韓国国内では「日本を超えた」などと報じられたりしました。
あっという間に政策破綻
が、この政策は2003年にあっさりと破綻します。実は大量にクレジットカードを発行し、利用させていたものの、まともな監督がされていませんでした。つまりこの政策は、国民の借金を増やすだけで抑止のための手を打っていなかったのです。
破綻の大きな原因が「延滞」です。クレジットカードを利用した消費者が次々と返済不能に陥りました。2001年末には3.8%だったカード業界全体の延滞率は、約1年後の2002年11月には9.2%に急上昇し、2003年1月にはついに11.2%に達しました(2003年3月12日の中央日報の記事参照)。
貸したお金が返ってこないと困るのはカード会社です。債権の回収ができないことで大手のカード会社が次々に破綻。当時最大手だった『LGカード』も経営危機に陥るなど、韓国経済界に大きなダメージを与えました(その後もしばらく韓国はこのダメージを引きずっていました)。この一連の騒動を現在では「カード大乱」と呼んでいます。
カード大乱は2003年がきっかけで、韓国では国民に1~10までの「信用等級」を設けるようになりました。この等級のうち7~10までは低等級となり「カードの発行NG」です。
カード大乱が起こった2003年、韓国は深刻な経済状況に陥りましたが、昨今の韓国はそれに匹敵する厳しい経済状況です。そのために「2003年のカード大乱に似た……」といった表現がよく見られるのです。
⇒参照記事:『中央日報』2003年3月12日
https://japanese.joins.com/article/j_article.php?aid=38194
(中田ボンベ/dcp)