中国は半導体を自給自足することを目標に巨額を投じてきましたが、現在はアメリカ合衆国との対立が深まり、うまく進行していません。
中国の半導体自給率を検証してみましょう。
かつて中国は「中国製造2025」計画を明らかにし、その中では2020年に半導体自給率を40%、2025年に70%まで引き上げるとしていました。
『IC Insights』によれば、
2020年
中国の半導体自給率:15.9%⇒データ引用元:『IC Insights』公式サイト
です。しかも、中国の半導体企業が生産した割合は「5.8%」に過ぎません。
半導体製造サプライチェーンにおける中国企業の比重も大きくありません。
中国企業の比重
メモリー設計:1%未満
ロジック半導体設計:5%
ウエハ製造:16%
素材:13%
設備:2%
組立・パッケージング・テスト分野:38%
中国共産党は自前で半導体製造が行えるように莫大な投資も行ってきました。
国家集積回路産業開発投資ファンド:210億ドル(約2兆3,108億円)
2019年
半導体産業に投下した資金:350億ドル(約3兆8,514億円)
しかし、2020年には半導体産業への投資が次々に破綻する事態に見舞われました。その最大の失敗はMoney1でもご紹介した『武漢弘芯セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー』(HSMC)です。
200億ドル(約2兆2,008億円)を投じて世界最先端のファンドリーを造るという触れ込みだったのですが、途中で資金ショートし、結局お金だけ集めて逃げた――と詐欺案件と中国ネットメディアで叩かれました。
なにせ、オランダ『ASML』から購入したリソグラフィー装置を担保にイベント開催費用5億元を地方銀行から借りたぐらいで、いかにいい加減なプロジェクトだったかが分かります。
2020年、このような破綻に耐えかねた中国共産党当局は、半導体市場に参入する企業に厳しい制限・審査をかけると発表せざるを得ませんでした。
2021年には名門の国立『精華大学』をバックに大きくなり、中国の半導体製造の先頭に立つはずだった『紫光集団』が破産・再生となったのは先にご紹介したとおりです。
このように、中国共産党の「半導体崛起(くっき)」は予定どおりに進行しておりません。
アメリカ合衆国トランプ全政権が始めた「中国に半導体を渡さない」(「作らせない」を含む)という戦術がいかに正しかったのかがよく分かります。
(吉田ハンチング@dcp)