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韓国経済は年初から寒波。通貨安・債券安・インフレの三重苦

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韓国経済にとって2022年は年初から厳しいものとなっています。

通貨安が進行中!

まず通貨安


↑水色の線が「1ドル=1,200ウォン」(チャートは『Investing.com』より引用)。

Money1で連日ご紹介しているとおり、ついにドルウォンのレートが心理的な抵抗線である「1ドル=1,200ウォン」を突破する勢いを見せています。通貨当局もさすがに防衛に乗り出しているでしょうが、アメリカ合衆国が金融緩和の縮小・金利を上げる方向ですので大勢を覆すことは困難と考えられます。

金利上昇の悪影響

次に金利

『韓国銀行』は2021年、先制的に基準金利を2回上げ「1.00%」としました。当然ですが、債券価格が下がっています。以下は韓国債のイールドカーブです。

最も枚数の多い3年物は再び2.00%突破寸前となっています。以下は3年物の利回りの推移です(チャートは『Investing.com』より引用:日足)

上掲のとおり、01月06日はギャップアップして「1.99%」まで(ヒゲですが)達しています。

また、基準金利の上昇は当然ながら貸し出し金利を押し上げており、借金まみれになっている家計への影響が懸念される状況です。韓国の場合には、融資を受ける際に変動金利を選択している家計が多いので、貸し出し金利が上昇すると、利息返済の負担が増大するのです。

さらに、金融当局が家計負債の異常な増加を阻止するため、金融機関に融資規制を指導しています。ですので、ロールオーバー(借り換え)ができない家計が増えることも予測されます。仮にロールオーバーできたとしても貸し出し金利が上がっているため、利息返済の負担は増えます。

インフレが韓国経済を揺さぶっている

第3にインフレです。

韓国は尋常ではないインフレに見舞われています。先にご紹介したとおり、10年ぶりの高水準の物価高で、韓国民の生活を圧迫し、スタグフレーション懸念が高まっています。スタグフレーションは、景気は悪いのに物価が上がるという最悪な状態。韓国がスタグフレーションに突入するという可能性は決して低いものではありません。

世界的なインフレ傾向は韓国経済に悪い影響を与え始めています。

そもそも韓国は、貿易で十分なもうけが出せなければ経常収支が黒字になりません。

良くも悪くも韓国は貿易頼みで国が成立しています。しかし、資源・中間財・資本財を輸入して完成した製品を輸出してもうけるという貿易構造であるため、資源・中間財・資本財の価格が上昇すると、貿易のもうけは減らざるを得ません。

韓国メディアでは「輸出が最高額」などと喧伝していますが、それより重要なのは貿易のもうけです。

実際、貿易のもうけはついに赤字に転落しました(ただし通関ベースの統計)。これが継続すると、お金が流出し続けますので、どこかで危機が到来します。実際、1997年のアジア通貨危機、2008-2009年の韓国通貨危機の際には、経常収支は赤字続きでひどいものでした。


▲はマイナスの意味です

⇒データ引用元:『韓国銀行』公式サイト「Economic Statistics System」

上掲は1997年アジア通貨危機時の韓国の国際収支統計ですが、9カ月で経常収支が赤字です。同時に貿易のもうけを示す貿易収支(輸出 – 輸入)が8カ月赤字を記録している点にご注目ください。

以下は、韓国通貨危機に見舞われた2008年の国際収支統計です。

データ引用元は同上

2008年の経常収支は7カ月赤字。貿易収支は3カ月赤字です。

韓国経済は年初から先行きが心配

というわけで、韓国経済は年初から寒波な状態です。

さすがに韓国メディアでも自虐的な記事が出ています。

年初から韓国経済に押し寄せた寒波が懸念される。

為替レート・金利・物価など3大経済指標がすべて上がり、経済回復の足首をつかんでいる。

(中略)

より大きな問題は、大統領選挙者が出す対策が家計負債(Debt)と物価上昇(Inflation)、為替レート(Rate)不安、税制(Tax)懸念、金利(Yield)引き上げなど危機要因を強く刺激するということだ。

庶民のために掲げたポピュリズムが結局家計の苦痛をさらに育てるパラドックスが現れているわけだ。

韓国経済が今まで経験できなかった「汚い(DIRTY)」危機に瀕したという分析が出てくる背景だ。

⇒参照・引用元:『ソウル経済』「ポピュリズムブーメラン…DIRTY 複合危機」

記事ではDIRTYとリスク要素をまとめていますが、確かに韓国経済を揺さぶる要素であることは確かです。大統領候補者が大衆受けする政策を思うさまに打ち出していることが、さらに混迷に拍車をかけていることも全くそのとおりでしょう。

2021年12月に貿易収支が赤字になったのは通関ベースのデータです。国際収支統計でどう締まるのかはまだ不明です(2022年01月06日時点)。

ここに連日上がる物価でインフレ圧迫はますます強くなっている。専門家たちは庶民がポケットを握って絞る(スクリュー)するほど物価が上がる「スクリューフレーション」の可能性まで取り上げる。イ・インホソウル大学経済学科教授は「原油価格など対外要因が生産コストを引き上げ、国内流動性供給も増えた状態で追景でお金がさらに解ければ物価が飛び上がる可能性が高い」と見通した。

より大きな問題は、大統領選挙者が出す対策が家計負債(Debt)と物価上昇(Inflation)、為替レート(Rate)不安、症状(Tax)懸念、金利(Yield)引き上げなど危機要因を強く刺激するということだ。庶民のために掲げたポピュリズムが結局家計の苦痛をさらに育てるパラドックスが現れているわけだ。韓国経済が今まで経験できなかった「汚い(DIRTY)」危機に瀕したという分析が出てくる背景だ。

출처 : https://www.sedaily.com/NewsView/260QYQ2ZH4/GC01