2023年01月12日、韓国外交部と『韓日議員連盟』が共催した「公開討論会」が行われました。
↑国会前で「政府の屈辱的な強制動員解決法反対!」と掲げた市民団体の皆さん
この公開討論会の場で、徐旻廷(ソ・ミンジョン)アジア太平洋局長が、原告・自称徴用工側に、確定されてしまった債務を返済する方法として、代位弁済プランを公式に初めて認めました。
徐旻廷(ソ・ミンジョン)局長は、以下のように述べています。韓国メディア『NEWSIS』から引用します。
「純粋に法的側面から見ると、民事事件として債権・債務履行の観点から、この判決金は法定債権で被告である日本企業の代わりに第三者が弁済可能であるか検討された」
「言い換えれば、我が被害者の方が判決金を第三者から受けることにも問題がない」
「現在係争中の訴訟も、原告が勝訴する場合、同様の方法で(支給を)進めていくものと見ている」
「原告が第三者から判決金を支給される場合、その支給主体と関連しては、現存ある『日帝強制動員被害者支援財団』が強制徴用被害者支援を目的としており(至当)」
「両国間の立場が対立した状況で、被告企業から判決金支給を引き出すのは事実上難しい点を民官協議会の参加者の方々をはじめ、被害者側でも知っておられると理解している。この部分については創意的なアプローチが必要だろう」
というわけですので、韓国司法が認めた原告・自称徴用工側に対する支払いは、第三者である『日帝強制動員被害者支援財団』が行う――というプランを進めることを認めました。
↑債務譲渡が行われるのか、また行うとしてどのように行うのかは不明です。
ご注目いただきたいのは、現在係争中の同様の訴訟についても、原告側が勝訴した場合には、その債務支払いについては同様のスキームを使う(だろう)――としている点です。
つまり、「1965年の日韓請求権協定で片付いているはずの債務問題について蒸し返した裁判については、韓国側で処理する」といったことになります(ただし債務譲渡などが行われる場合、その契約をどうするのかは現在のところ全く不明)。
日本からすれば当然のことですが、韓国の市民団体、また世論からの反発は必至と思われます。尹錫悦(ユン・ソギョル)政権からすれば法に則って処理という正面突破ですが、これが受け入れられるのかは疑問です。
また、徐旻廷(ソ・ミンジョン)局長は「政府としては必ず原告である被害者および遺族の方々に直接お会いし、受領の意思を問い、説明を差し上げ、同意を求める過程を経るだろう」とも述べています。
原告・自称徴用工側は「日本政府・企業の謝罪」を求めていますので、この公開討論会の結果をもって「はい。このままいきます」とはならないのではないでしょうか。
「求償権を行使させない」よう封じられるか?
また、代位弁済プランには「求償権」という問題があります。
代位弁済では、弁済者は「求償権」が取得できます。つまり、このケースでは、『日帝強制動員被害者支援財団』は弁済した金額について被告・日本企業に対して請求・償還できる権利を持つのです。
日本メディアに、この「求償権」を行使しないのであれば日本政府はこのプランを受け入れる――という報道が出ているのはこのためです。求償権を行使されると元の木阿弥ですので。
公開討論会は終わりましたが、この先が問題です。また、日本政府がこれを本当に受け入れるつもりなのか――です。
※代位弁済とは「第三者または共同債務者が(保証人、連帯債務者等)が債務弁済すること」をいいます。
(吉田ハンチング@dcp)