2023年07月16日、イギリスが正式に12番目の『TPP』加盟国となりました。
日本メディア『産経新聞』の報道によれば、後藤茂之担当大臣は16日の閣僚級会談後の記者会見で、以下のように報じています。
「威圧的な対応や法令順守に的確な対応をしていないエコノミー(国・地域)は対象にできない」と強調。
『産経新聞』は「これを中国のことだ」としています。そのとおりでしょう。中国をTPPに加盟させたら、『WTO』(World Trade Organizationの略:世界貿易機関)と同じことになります。中からルールを破壊されてしまいます。新しく加盟したイギリスも中国の加盟に賛成しないでしょう。
ならず者国家・中国など加盟させないという自由主義陣営国の意思は、なにより中国自身が知ってます。
2023年07月16日、中国共産党の英語版御用新聞『Global Times』は「中国の申請をどう見るかはCPTPPのリトマス試験紙」という、露骨な牽制記事を出しました。
御用新聞は「必死だな」
「中国を入れろ!」という強引な主張です。記事から一部を以下に引用してみます。
日曜日、包括的および先進的な環太平洋パートナーシップ(CPTPP)の加盟国がニュージーランドのオークランドで会合を開き、イギリスがCPTPPに参加する協定に正式に署名し、2018年の協定発効後、最初の新規加盟国となった。
2021年にCPTPPへの加盟を申請した中国は、イギリスに次いで2番目となった。
申請提出の時間的順序によると、CPTPPは次に中国の加盟について議論すべきであり、これは今回の会議の重要なトピックの一つである。
すべてのCPTPP加盟国が、政治的な偏見やバイアスを中国の加盟に混ぜないことが望まれる。
その代わりに、真の多国間主義の原則の下、中国の加盟申請に対して前向きかつオープンな態度で目を向け、対処し、受け入れるべきである。
中国が最終的に加盟すれば、中国とCPTPPがWin-Winの関係になるだけでなく、国際経済貿易関係の現実において、陣営対立の促進を特徴とする世界経済貿易に対する地政学の強い浸食を打破し、超越することになる。
この点にも大きな意義がある。
世界経済全体の後退の中で、アジアは世界経済成長の重要な原動力のひとつとなっている。
アジア太平洋地域初の大規模な自由貿易協定として、CPTPPは近年、地域経済の発展にプラスの効果を発揮し続けており、高い基準、広い範囲、広い適用範囲を持つ国際的に認知された協定となりつつある。
中国はCPTPP参加12カ国のうち8カ国にとって最大の貿易相手国であり、日本とシンガポールは中国への大規模な投資を維持している。
中国にはCPTPPに参加する意欲と能力があり、その適用はアジア太平洋地域の利益と世界の経済回復に合致している。
(後略)⇒参照・引用元:『Global Times』「How to view China’s application is the litmus test of CPTPP: Global Times editorial」
「入れろ、入れろ」と必死になっている社説です。
イギリスの次に申請したのは中国だから、「当然、次は中国の加盟について議論すべきだ」といっています。加盟議論のプライオリティーについて指摘しているわけですが、『The Guardian』の記事によれば、中国の加盟については「棚晒し」になっています。
中国が必死になっている理由の一つは、中国をスキップすると、次が台湾だからです。
2021年02月01日:イギリス
2021年09月16日:中国
2021年09月22日:台湾
順番では確かに中国なのですが、自身が嫌われていること、また「棚ざらし」であることを熟知しているので、万が一にもスキップされたくないのです。国際的に赤っ恥をかくからです。
中国が加盟したら、「ブロック化されていく国際経済を超越することになる」という主張はまさに噴飯物という他ありません。ブロック化の元凶こそが中国だからです。
自分で分裂を引き起こしておいて、「行かないでくれ」「仲間に入れてくれ」というのです。
日本、および自由主義陣営国は「中国のうそ」を信用してはなりません。中国商務部は「3千にもおよぶ規制を改善中」などというアピールを行っていますが、「全部うそ」と見るべきです。
中国ではルールの上に中国共産党が存在し、党の都合で「いつでも」「どのようにでも」ルールを変更できるからです。そんな国と公正なルールに基づく貿易など成立するはずがありません。
『IMF』『WTO』の例を反省して、決して中国を加盟させるべきはないのです。
「中国共産党がなくなったら、またおいでなさい」が正しい態度です。
まだ理解していない人もいらっしゃいますが、「自由主義陣営国 vs 中国」はイデオロギーの戦い、アイデンティーの戦いであって、商業ルールをちょっと修正したら仲良くなれるといったものではないのです。
どちらかが倒れるまで続くものであり、続けなければならないのです。習近平を頭にいただき、中国共産党のどんな理不尽な命令でも受け入れます――というなら別ですが。
(吉田ハンチング@dcp)