2019年12月13(金)およそ06:55-07:00(日本時間)に大きな為替変動がありました。韓国の通貨「ウォン」も大きくウォン高方向へ動いたわけですが、この前後で面白い動きがありましたので、ご紹介してみます。
まず、アメリカ合衆国の通貨「ドル」の強さを示すINDEX(指数)「DXY」のチャートと、イギリスの通貨「ポンド」のチャート「ドルポンド」を時間軸をそろえて見てみます(チャートは『Investing.com』より引用/5分足:以下同)。
(当たり前ですが)上下のトレンドはきれいに一致しています。ドルが強くなればポンドは安くなり、ドルが弱くなればポンドは高くなります。06:55に雪崩のような下落(ドルの力の急速な弱まり・ポンド高)が起こっていますが、これも一致していますね。
次に、「DXY」のチャートと、韓国の通貨「ウォン」のチャート「ドルウォン」を時間軸をそろえて見てみます。
DXYが雪崩のような下落を始める前に、DXYが上昇する(ドルの力(価値)が強くなっていく)時点に合わせてすでにウォン高方向へ大きく進んでいるのがお分かりいただけるでしょうか。
以前からご紹介しているとおり、DXYが上昇するということは基軸通貨(キーカレンシー)であるドルの価値が上がることで、つまり相対的に他の通貨の価値は下がるわけです。実際、上掲のとおりイギリスのポンドもDXYと上昇下落のトレンドは基本一致しています(DXYは複数の通貨から組成されるので当然のことなのですが)。
なぜそこで「ウォン」に行く? 「人民元」でも同じ動きが
当然、ウォンもDXYの上昇下落トレンドに合わせて動きます。DXYが上がればウォンもチャートでは上がり(ウォン安になり)、DXYが下がればウォンもチャートでは下がる(ウォン高になる)のが普通なのです。
ところが上記のとおり、DXYで雪崩のような大きな下落が起こる前、12日から13日へ日付けが変わるころ、DXYの上昇に対して、ウォンは逆方向(ウォン高方向)へ急速に進んでいきます。方向性の乖離(かいり)、ディバージェンスです。
つまり、世界で「ドルだー!」といわれている中、なぜか大量の「ウォンを買うぞ!」という「ドル⇒ウォン交換」があったわけです。
その後、DXYが雪崩のような下落を見せ、世界が強くリスクオン方向へ向かい、このディバージェスの発生後はドルウォンチャートもDXYの上下動に基本同調しています。そのため、全体の動向としては「だいたい合ってる」となりました(なんだコレ)。
というわけで、日足レベルではディバージェンスは一応収まったように見えることとなりました。しかし、拡大してみるとこのような「?」という値動きが見られたのです。
ちなみにウォンと同様の動きを見せた通貨があります。中国の「人民元」です。以下のチャートを見てください(ただしオフショアの人民元「CNH」です)。
同様に時間軸を揃えてみたものですが、上昇下落のトレンドが一致しているのがお分かりいただけるでしょう。つまり、人民元もDXYが雪崩のような下落を始める前に、DXYがいったん上昇を始めた段階ですでに人民元高方向へ急速に動いていたわけです。
(柏ケミカル@dcp)