韓国が国産と主張する次期主力戦闘機『KF-21 ポラメ』は、試作1~6号機が完成しており、現在もテスト飛行が続けられています。
※試作機はこの6機で打ち止め。
2号機(単座):初飛行2022年11月10日
3号機(単座):初飛行2023年01月05日
4号機(複座):初飛行2023年02月20日
5号機(単座):初飛行2023年05月16日
6号機(複座):初飛行2023年06月28日
このKF-21の開発については、面白い動画があります。
↑YouTube「프로파일럿」チャンネル
『KAI』(韓国航空宇宙産業)の役員を務め、実際にT-50からKF-21までの開発に従事したチョ・ジョンレ元常務が「KF-21」について語っているのですが、興味深い発言を拾ってみると……。
「(KF-21は)どうすればパイロットが生命の脅威を少なく感じながら、敵戦闘機のパイロットより多くの余裕を持って対応できるかに視点を置いて設計した」
「FA-50はA字を外していないため、まだ完全な独自の戦闘機と呼ぶのは難しい」
「FA-50と比較すると、運用概念で最も大きな違いがある部分は単発エンジンと双発エンジンであり、その次が戦闘機の武装レベル」
「単座機と複座機の違いがある。ほとんどの戦闘機は一人で運用し、多くの機能を一人で処理しなければならないため、パイロットの任務負担を減らすことが重要だった」
「その短い瞬間に死ぬか生きるかを決める瞬間があるので、多くの部分を考えて設計しなければならない」
「人間工学的な要素や反応速度、様々な段階にわたる対応まで考えて設計しなければならないので、最も多くの違いがあるだろう」
「機体は大きいが、むしろ敵のレーダーにはFA-50より小さく補足されるステルス機能が重要」
「双発エンジンになることで系統の複雑さは2倍ではなく、2乗、つまり4倍になる」
「2つのエンジンのうち、左右どちらかのエンジンが使えなくなったとき、パワーの方向や飛行操縦系統などの要素を飛行操縦コンピューターにどのように反映させるかなどの問題が、エンジニアたちが眠れずに悩まなければならない要素だった」
「KF-21単座機を開発する際に最も簡単だったのは、前・後部座席のパイロット2人乗りで、どのような機器を同時に操作するかを考慮する必要がなかったこと」
「訓練機の場合、後部座席に教官が乗るので、後部座席に操縦の優先権を与えなければならないし、戦闘機の場合、戦闘任務を前部座席のパイロットが遂行するので前部座席に優先権を与えなければならない。
FA-50を作る時は前部座席と後部座席のパイロットのどちらに操縦の優先権を与えるかについての悩みが深かった。しかし、(KF-21では)単座機を作るからそのような悩みはなかった」
「ところがスグに問題が生じた。単座機と複座機を同時に造らなければならなくなったからだ」
「(この単座機と複座機の問題は)今もエンジニアが頭を悩ませていることの一つではないかと思う」
「単座機と複座機を同時に設計するということは、運用手順やスイッチ、ソフトウェアの優先順位、それを実行する方法と物理的な配置、航空機の重心が変わる、このような全てのことを考慮して設計しなければならない」
「多くの人材が同時に同じことを考え、それに対する準備をしながら設計しなければ飛行機は壊れる」
「今、全世界を見渡しても、このような短期間で試作機6機をほぼ同時に数カ月差で製作し、その上、単座機と複座機を同じ期間に、またインドネシア空軍の特定要求条件まで含めて全ての特徴を備えた状態で造り上げた例は、他にはない」
「FA-50開発当時、技術支援をした『ロッキード・マーティン』社でさえ、KF-21計画については『奇跡が起きない限り絶対に造れない』と断言した。このセリフを1992年から何度も聞いてきた」
チョ・ジョンレ元常務のお話によると、エンジンを2機積んだ双発機にするのが大変で、「今度は単座機だから大丈夫」と思っていたら、KF-21では複座機も同時に造ることになり……うんざりされたようです。
『ロッキード・マーティン』社でさえ、KF-21計画については『奇跡が起きない限り絶対に造れない』と断言した――というのは面白い話です。
「それでも、オレたちはやってのけたんだ」――と言いたいのでしょうが、まだモノになるかどうかは分かりません。「今さら4.5世代の戦闘機を造ってどうするんだ」という声もあります。
ただ、こうして「実際に造ってみる」というのは得がたい経験になる……のではないでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)