Money1でも連日ご紹介していますが、KOSPI(韓国総合株価指数)は外国人投資家が買い越してくれると上昇する傾向にあります。
韓国メディアでは売り越して逃げた外国人投資家が買い越しに転じると「外国人投資家が帰ってきた!」と報じがちです。だいだいの場合は「帰ってきた!」からあまり日数がたたずに「またセルコリアに転じた」になるのですが……。
直近のKOSPIは以下のようになっています(チャートは『Investing.com』より引用)。
ご覧のとおり上げていますが、実は韓国の個人投資家、機関投資家も売り傾向にあります。しかし、外国人投資家は買い越しとなっています。
韓国取引所によると、2024年03月22日時点で、外国人投資家はKOSPIにおいて2024年に入ってから「14兆401億ウォン」を買い越しています。
この金額は2023年の純買収額(11兆4,241億ウォン)を抜いています。
また、KOSPI時価総額に占める外国人投資家が保有する金額は「34.1%」に上昇しています。
Money1でもご紹介したことがありますが、外国人投資家がセルコリアをリードしていたときには、KOSPI時価総額に占める割合は3割を切っていたのです。それが「34.1%」に達したというのは、韓国メディアが「外国人投資家がバイコリアに転じた」と喜んでも無理はありません。
――では、外国人投資家はどんな銘柄を大きく買い越しているのでしょうか。実は……相変わらずなのです。以下は、韓国取引所による「外国人投資家の買い越し金額Top3銘柄です。
第1位 『サムスン電子』……3兆5,445億ウォン
第2位 『現代自動車』……2兆2,080億ウォン
第3位 『SKハイニックス』……1兆3,604億ウォン
『サムスン電子』が1位で3位が『SKハイニックス』ですので、これは半導体関連のTop2。『現代自動車』が第2位ですが、これは電気自動車期待といえます。
このような外国人投資家によるバイコリアの傾向を、例えば韓国メディア『Chosun Biz』は以下のように分析しています。
①『FRB』が年内3回の金利引き下げを再確認した。ドル安に備えた代案として韓国株式が注目されている
②世界的に人工知能(AI)熱があり国内半導体企業の実績改善が期待される
③コリアディスカウント解消を目標に「バリューアップ(企業価値改善)プログラム」を導入したのが外国人投資家に効いた
①の「ドル安に備えた代案」となるかどうかは正直、怪しいところです。確かに中国がもはや信用できないことは世界中の投資家が理解していますし、リスクオンの動きが強くなれば、KOSPIに流れるお金も増えるとは考えられます。
実際、その動きはKOSPIにおいても感じられます。だからこそ、上掲のとおり外国人投資家が資金を入れていると見られるのです。
しかし、どこまで資金流入が増えるのかは分かりません。何度もご紹介しているとおり、韓国の証券マンですら「(残念なことに)韓国株式市場は中国と一緒くたにされる」と嘆くぐらいなのですから。
②もAIバブルについてはどこかで調整が来るとも見られるので、これからも韓国の半導体産業に資金が投下され続けるのかは、もう少し見ないと分かりません。
最後の③ですが、これは先にご紹介したとおり韓国が行ったのは丸っきり日本のパクリです。ただし、これでディスカウントコリアが正されるなんてことは、あまり真剣に捉えない方がいいと思われます。なぜなら、韓国企業と日本企業ではファンダメンタルズがまるで違うからです。
韓国金融当局の丸パクリプラン(韓国ではこれを「ベンチマーク」といいます)が、本当に効果を挙げているのかは、相当に疑問です。皆さん忘れているかもしれませんが、いまだに「全銘柄空売り禁止」を行っているような市場なのです。
どこが「先進国にふさわしい」のでしょうか。
ともあれ、外国人投資家による資金投入が大きくなっているのは事実です。「外国人投資家のセルコリアが拡大」みたいな事態にならないといいですね。
(吉田ハンチング@dcp)