経済が傾いたドイツ「火力発電所を50基造る」と言い出す。

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読者の皆さまもご存じかと思われますが、ドイツ経済が大変に傾いており、「また欧州のお荷物に転落か」などといわれるようになっています。

2025年01月19日、ドイツの次期首相と目されているFriedrich Merz(フリードリヒ・メルツ)さんが、

「02月23日の早期総選挙で勝利した場合、ガス火力発電所を50基建設する

と発表しました。


↑フリードリヒ・メルツさん。なんだかノスフェラトゥみたいな顔した人なんですよ。

2022年01月から『CDU』(ドイツキリスト教民主同盟)の党首。

ドイツといえば「環境にやさしい国」として知られ、1961年に初の原子力発電所が商業運転を開始して以来62年ぶりに原発の運転を完全停止。いわば「脱原発の元祖」ともいえますが、電気自動車への転換も積極的に推進してきました。

ところが、近年の電気料金の高騰やロシア・ウクライナ戦争の長期化により、「エネルギー安全保障」の脅威に直面し、国が一気に左前に。

(分かっていたはずなのに)不安定な再生可能エネルギーの発電状況やロシア・ウクライナ戦争による供給不安の影響で、チェコやデンマークなど海外から大量に電力を輸入することになりました。

2003年には電力の純輸出国になったのに、脱原発の影響が深刻化し、2023年には再び「電力の純輸入国」へと転落しました。

ドイツの電気料金はバカ高!

ドイツ国内の電気料金は無茶苦茶なことになっています。以下をご覧ください。


↑家庭用電気料金。2023年/データ出典:『OECD』

ドイツの電気代金はMWh当たり「440.3ドル」です。

ちなみに、日本の場合はいくらになるかというと――2023年時点で『全国家庭電気製品公正取引協議会』が「新電力料金目安単価」(2023年06月以降)として示していた価格は、1kWhあたり「31円 [税込み]」です。

MWh当たりにすると千倍で「3万1,000円」。これを2023年末時点の「1ドル=140.83円」(TTB)で換算すると「220.12ドル/MWh」になります。

つまり、ドイツの家庭用電気料金は日本の倍ぐらい――ということになります。

2023年には、予算の問題で電気自動車への補助金を廃止したことで、ドイツ国内での電気自動車販売台数は前年比で約27%急減――という事態も起こりました。これはドイツの大事な自動車産業に大ダメージを与えました。

環境に優しい政策で突き進んでみたら、あっちでもこっちでも歪みが露呈して国が左前になりました――というのがドイツの現状なわけです。

――で、脱原発だー!で進んできたので、今さら原発を建てることも(とても体裁が悪いので)できず、ただ発電施設は必要なので「できるだけ早く国内に火力発電所を50基造る」などと言い出したのです。

さんはメルツさんは、「ショルツ政権が最後の原子力発電所まで閉鎖したことは重大な戦略的ミスだ」とも述べています。

ドイツはドタバタになっておりますが、来月(2025年02月)にどうなりますやら――ご期待ください。

(吉田ハンチング@dcp)

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