韓国の民間企業が、自社開発のロケットで顧客の小型衛星を軌道投入しようとした初の試み――が失敗に終わりました。
2025年12月23日、韓国の民間企業『INNOSPACE(イノスぺース)』 の小型ロケット 「HANBIT-Nano(ハンビット・ナノ)」 が、ブラジルのアルカンタラ発射場から打ち上げられました。
離昇後、約30秒後に機体に異常が発生し、落下して爆発・炎上。終了――となりました。
ただ、落下したのは安全区域内だったので人的被害などはありませんでした。
↑打ち上げから墜落までの動画。YouTube『New York Post』チャンネル
以下は『INNOSPACE』が出した株主向け説明リリースです。
拝啓 イノスペース株主の皆様へ
こんにちは。イノスペース代表取締役のキム・スジョンです。
当社はブラジル時間12月22日22時13分(韓国時間12月23日午前10時13分)、ブラジル・アルカンタラ宇宙センターにおいて、2段式打上げ機「ハンビット・ナノ(HANBIT-Nano)」による初の商業打上げミッション「SPACEWARD」を実施しました。
ハンビット・ナノは発射台から正常に離昇し、予定どおり垂直飛行軌道に入りました。
第1段に搭載された25トン級ハイブリッドロケットエンジンは正常に点火され、計画された飛行区間を飛行しました。
その後、離昇から約30秒経過した時点で、飛行中に原因不明の異常が機体に発生し、これにより打上げ機はあらかじめ設定された地上安全区域内に落下しました。
この過程において人的被害・船舶・地上施設物などの外部被害は発生していませんでした。
また、打上げ安全確保のためのすべての手続および統制は、ブラジル空軍を含む関係機関の国際基準に基づく安全体制の下で、設計意図どおり実施されました。
現在、当社は関係機関と協力して飛行・計測・追跡データを総合的に分析しており、打上げ任務が終了に至った経緯について技術的検討を進めています。
現段階では特定の原因や結論を断定するのではなく、実際の飛行環境で観測された現象を客観的に確認し、それを体系的に検証することに集中しています。分析結果については、整理され次第、透明に共有する予定です。
今回の打上げは計画した最終結果には到達できませんでしたが、本ミッションを通じて実際の飛行環境でのみ取得可能な飛行・推進・運用データが成功裏に収集された点は、非常に重要な成果です。
これらのデータは地上試験やシミュレーションでは確認が難しい領域であり、今後の打上げ機設計の高度化および運用の安定性・信頼性向上に直接活用される中核資産です。
当社は今回の打上げで得られたデータと分析結果を基に、必要な技術補完および追加検証を迅速に進め、十分な改善過程を経て、来年上半期中に再び商業打上げに挑戦する計画です。
今回の経験は、世界の主要打上げ企業が初期の商業打上げ段階で実飛行データを蓄積しながら技術完成度を高めてきた事例と同様に、次回打上げの成功可能性を高める重要な基盤になると判断しています。
何よりも、今回の初の商業打上げを応援してくださった株主の皆様のご期待に応えられなかった結果をお伝えすることとなり、誠に申し訳なく思っております。
それにもかかわらず、挑戦の過程に変わらぬ信頼とご声援をお寄せくださったことに深く感謝申し上げます。当社は今回の経験を足がかりとして技術的完成度をさらに一段階引き上げ、より安定的で意義ある成果としてお応えできるよう最善を尽くします。
今後の原因分析の進捗状況および後続の打上げ計画についても、透明に共有してまいります。
引き続きのご関心とご声援をお願い申し上げます。ありがとうございます。2025年12月23日
イノスペース代表取締役 キム・スジョン
民間企業なので株主さんに対する「申し訳ありませんでした」というプレスリリースを出さないといけないのが大変ですが、ぜひ再チャレンジしてほしいものです。
失敗することが成功への道です。技術をわがものにするには地道にコツコツ、失敗の原因をひとつひとつ潰して、前進するしかありません。
『INNOSPACE』は成功するまで諦めず頑張ってください。日本からもエールを送ります。
(吉田ハンチング@dcp)







