Money1では毎日、韓国経済の動向を見るために、ドルウォンのプライスアクションをご紹介しています。
しかし、不思議だとは思われませんか。吹けば飛ぶようなローカルカレンシー「ウォン」がなぜ24時間(土日年末年始除く)市場で取り引きされているのか?――と。
実は、24時間取り引きされているわけではないのです。
ここで「直物」について説明します。
為替・商品・証券などの取引で「その場の価格で売買し、実際に現物を受け渡しする取引」のことを直物といいます※。
※ただしドルウォンの決済は取引日の2営業日後。
英語でいうと「spot transaction」です。略して「スポット」。
ドルとウォンの直物取り引きができる市場は、韓国内にしかありません※。これが「オンショア」市場です。
※ドルウォンの正式なインターバンク現物市場は韓国内にあり、取引と決済は韓国の制度の下で行われます。
では、なぜ24時間市場が動いているように見えるのでしょうか。
これはNDF(Non-Deliverable Forward:ノンデリバラブル・フォワード)があるためです。NDFというのは「実際の通貨の受渡しを行わず差額で決済する為替先渡取引」のことです。
普通、日本語では「差金決済型フォワード」などと説明されます。
NDFは「差額」だけドルで決済する取り引きで、ウォンの現物がなくても取り引き可能です。
――で、❶吹けば飛ぶようなウォンなど持っていても仕方がない、❷韓国政府が資本規制行っている❸ウォンの海外流通が制限 ⇒ 海外銀行がウォンを自由に保有しにくいので、そもそも韓国外での直物市場(これが「オフショア」)がないのです。
しかし、シンガポール、ロンドン、ニューヨークなどが主要なオフショア拠点で、それぞれの地域の取引者が市場の開場時間に参加します。
ここでの値動きが、(情報ベンダーやブローカーのドルウォンチャートでは)オンショア現物とオフショアNDF由来の価格情報が時間帯ごとに反映され、連続的に見えるチャートになるのです。
このおかげで吹けば飛ぶようなローカルカレンシー・ウォンが(海外には直物取引がないのに)24時間取り引きされているように見えるというわけです。
市場が開く順番に見ると以下のようになります(時間は日韓の現地時間:日韓は時差がないので)。
韓国オンショア市場:09:00 ~ 翌日 02:00※
↓
シンガポールNDF:15:30頃 – 夜
↓
ロンドンNDF:夕方 – 深夜
↓
ニューヨークNDF:深夜 – 朝
※2024年07月01日以降に閉場時間を延長。これによってロンドン市場終盤までオンショア市場が開いていることになった/韓国政府は2026年07月から24時間化する方針を公表しています/もちろん『MSCI』で先進国市場に分類されるためです
韓国政府はNDFを嫌っています。
理由は簡単で、自国通貨の価格決定が海外で行われるからです。韓国政府の管轄外であるため、韓国当局は「介入できない」「規制できない」という問題があります。
NDFはウォンの現物が不要なため、世界中のヘッジファンドが「ウォンを借りなくてもウォン売りができる」のです。これが「通貨投機の温床」になります。
実際、過去二回のドボン騒動の際、すなわち1997年のアジア通貨危機、2008~2009年の韓国通貨危機では「NDF市場におけるウォン売り」が問題になりました。
(吉田ハンチング@dcp)





