2020年05月13日、韓国メディア『毎日経済』に「雇用惨事にも…『焼酎性』自画自賛」という興味深い記事が出ました。韓国政府が自身の雇用政策を称賛しことについて、「酔ってでもいるのかアンタは!」と突っ込んでいるのです。
これがまた呆然とするようなお話です。
一番の成果は仕事をなくし、失業者を増やしたこと
2020年05月13日、文在寅大統領直属の「所得主導成長 特別委員会」の主催で、「所得主導成長3年の成果と2年の課題」という会合が持たれました。
「所得主導成長」というのは、労働者の所得をまず増やすことによって経済を成長させる、という文在寅大統領肝いりの「考え方」(一種の妄想)のことです。
この「考え方」(一種の妄想)に基づいて韓国は各種の政策を推進し、文在寅大統領の任期のうち3年経ったのだか、さあ成果は何だったろうか? (韓国大統領の任期は5年なので)あと2年の課題は何だろうか?――を議論しようという会合でした。
恐らくこの会合では誰も言わなかったでしょうが、3年の成果は「雇用情勢を悪化させた」ことです。
以下は韓国の失業率ですが、文在寅さんが大統領になって(2017年)以降、失業率が上昇していますね。
⇒データ引用元:『tradingeconomics.com』「韓国-失業率」
これは体感失業率をはるかに下回るデータと考えられますが、それはいったん置きます。
妄想から出たばかばかしい結果
「所得主導成長」という「考え方」(一種の妄想)から実施したことといえば、まず「最低賃金」を無理から上げて、自営業者を多く廃業に追い込み、失業者を増やしました。
最低賃金の上昇によって人を雇用できなくなる自営業者が続出し、廃業、この廃業によって労働者が職を失ったのです。
「労働の賃金」というのは、ある種「需要と供給のバランス」によって決定されます。「働くならこれだけほしい」と「これだけなら出せるよ」が均衡するところで「金額」が決まるのです。
その原則を無視して、「これだけ出せ」とやったら破綻するに決まっています。最低賃金を上げても売上が変わらなければ利益が減るだけですからね。
その上、失業率が上がって行った対策といえば、政府のお金で仕事を増やすという一点。ここまではいいのですが、それで増やした仕事というのが、
・教室の電気がつけっぱなしになっていないか確認する
・山火事が発生していないか見張る
といったもの。ただ単に政府が雇用する公務員を増やしたのです(しかも低賃金のパートタイマー)。
ですから、「所得主導成長」という「考え方」(一種の妄想)はマイナスの成果しか生んでいません。
みんなでビンボになろう!
前置きが長すぎましたが、この会合で韓国政府がどのような寝言を発したかです。同記事から以下に引用します。
(前略)ホン・ジャンピョ委員長は「所得主導成長と拡大的財政運用が、国内外の環境悪化に伴う成長率急落を抑える防波堤の役割をした」と明らかにした。
この日発表された先月の就業者数は、通貨危機以降、21年ぶりに最も大幅に減少し雇用寒波が続くことが分かっている。
しかし、ホン委員長は「雇用は量的な面で悪くなかった」とし「景気下降局面でも青年雇用は雇用率が上昇した」と述べた。
直撃を受けた40代の雇用にも、ホン委員長は「人が減っているため、どの政権でも減少するしかない」とし「人口の影響を除くと、減少した仕事は多くなく、主に企業の経営部門」と説明した。
所得主導成長に低賃金労働者の割合も大きく減り、大・中小企業、正規職・非正規職の賃金格差も縮小されたというのが彼の説明だ。
(後略)⇒参照・引用元:『毎日経済』「雇用惨事にも…『焼酎性』自画自賛」(原文・韓国語/筆者(バカ)意訳)
本文内には何もそのような表現はありませんが、「『焼酎性』自画自賛」というタイトルに記者の気持ちが現れています。「アンタはバカなのか!」と言いたいのです。
「所得主導成長」という「考え方」(一種の妄想)によって「大・中小企業、正規職・非正規職の賃金格差も縮小された」のが成果で、つまりは「みんな等しく貧乏に向かっている」のが良いことなのでしょう。
一人の人間の妄想によって国民全体が貧乏に向かっているのにも関わらず、「それをいいこと」としているわけです。恐ろしい現状認識です。
「頭の悪い働き者」を組織のトップに据えるとこのような惨事が起こるという見本のような話です。この「頭の悪い働き者」の任期はあと2年もあるのです。韓国の人にはお気の毒という他ありません。
(柏ケミカル@dcp)