韓国では新型コロナウイルス騒動に対応するため、政府が予算をめいっぱい拡大してお金を回そうとしています。現在も例の「35兆3,000億ウォン」規模の第三次補正予算審議の真っ最中。
先にご紹介したとおり、巨額な借金を政府が背負うことになるわけですが、韓国メディアでも「韓国は大丈夫なのか」と懸念を示す報道が増えています。
IMFのイ局長が指摘する「いかがなものか」な「お金の投入先」
韓国メディア『毎日経済』にイ・チャンヨン『IMF』(International Monetary Fundの略:国際通貨基金)アジア太平洋担当局長に取材した記事がインタビュー形式で掲載されました。
先にご紹介したことがありますが、イ局長は「韓国はハードカレンシーを持つ国ではないので、基軸通貨を持つアメリカ合衆国のまねをしてお金を突っ込むのは危ない」という旨の発言をしています。
今回のインタビューでは、まさに今問題になっている「補正予算」について回答しており、非常に興味深い内容となっています。
イ局長は、政府が突っ込んでいるお金の規模はともかく、「お金の投入先」に注意すべきと述べ、記者の「望ましくない財政支出の例を挙げるなら?」という質問に、以下のように答えています。
(前略)
景気刺激策を名分に公共機関の雇用を恒久的に増やしたり、新しい福祉制度を財源計画なしに導入することなどが良い例だ。誤解のないように言っておくが、IMFは、韓国の福祉政策と社会のセーフイティーネットがさらに強化されなければならないこと、正規職と非正規職の格差をなくすべきであることには賛成している。
しかし、これを解決しようとして、公共部門の雇用規模を増やし、非正規職の正規化も公企業がリードしなければならないという見解には賛成できない。
社会的正義と公平の問題をさておいても、仁川国際空港公社の後、他の公企業が正社員への転換を要求すると、どのようにするのか。
公共部門の拡大と正規職転換に必要な長期資金をどのように調達するのかを議論していない。
安定公企業への就職を希望する青年たちにとっては甘美な政策かもしれないが、公共部門の賃金を国民の税金で賄うという点を考えれば、将来の青年たちが負うべき負担が増えるのは明らかな事実だ。
(後略)⇒参照・引用元:『毎日経済』「【単独】イ・チャンヨンIMF局長『景気浮揚策3T満たす必要あり…規模だけでなく、用途が重要』」(原文・韓国語/筆者(バカ)意訳)
「公務員増やしてどうすんだ!」「福祉制度の財源を考えてないじゃん!」「結局将来の国民に負担増になるぞ!」ですが、要は現政権の「考えなし」を批判しています。
恐らくイ局長としては、もっと直裁に言いたいことがあったのでしょうが、記事自体はマイルドな表現でうまくまとまっています。
「韓国は大丈夫なの?」という質問に対しては「うーん、あんまり大丈夫じゃない」という回答かと思われます。
(吉田ハンチング@dcp)