11月07日、ロイターに「四半世紀ぶり高値の日経平均、乗り切れない国内投資家」という面白いタイトルの記事が掲載されました。かなりの株高となっていますが、日本市場の株高を支えているのは国内投資家ではない、という現実があるのです。
日経平均株価で見ると、最高値(終値)を記録したのはバブル期の1989年12月29日の「3万8,915.87円」です。直近の2017年11月07日には「2万2,873.01円」で、これはリーマンショック後の最高値。
この力強い上昇を受けて、「年末には2万5,000円を達成し、次には3万円の水準が見えてくる」と強気な発言を行う識者も増えてきました。バブル期には、まさにバブルのごとく、PER(株価収益率)が「60倍」という無茶な数字が出たこともあるのですが、現在は堅実に「15倍」程度です。
つまり、株価は業績に即した数字であり、また業績から見るなら日本株は「割安」と判断できるというわけです。外国の投資家は非常に合理的で「割安株」を見逃さず、投資してきます。
衆院選前後の急激な株高を推進した原動力が「海外投資家」であることは確かです。9月第2週から10月第4週まで「直近約1カ月半」に海外投資家は「約5兆3,000億円」(現物・先物の合計)の「買い越し」となっています。
2017年年初からの海外投資家の買い越し額は「約3兆1,000億円」ですから、「9月第2週-10月第4週」までの動向としては「日本株売り」が優勢だったことが分かります。
ところが日本の国内投資家の「直近約1カ月半」の動向は、全く逆の「売り越し」です。個人投資家では「約2兆4,900億円」(現物・先物の合計)の売り越し。証券会社、金融機関(都市銀行・地方銀行)、生保・損保、信託銀行もみんな売り越しです。投資信託などの金融商品を合わせた売り越し合計金額は「約4兆9,000億円」に達すると見られます。
「日本の投資家は、過去の経験から今の相場に過熱感を感じている」と指摘する識者もいらっしゃいます。相場観はまさに人それぞれですが、上記のような数字から見れば、日本では「乗るしかない! このビッグウェーブに」と思っている投資家の方が少ないのかもしれません。
(柏ケミカル@dcp)