これも韓国・文在寅大統領任期末期のレイムダック故といえるでしょうか。文大統領が派手にぶち上げた「韓国版ニューディール」の一貫として総額50兆ウォン(約4兆8,500億円)投入する「都市再生計画」が実効性に乏しいとして、頓挫の危機となっています。
そもそもは、文在寅さんが大統領選挙時に公約として掲げたプランに端を発するものですが、昨年にわかに「グリーンニューディール」なるものの中に入ってにわかに注目を浴びました。
先にご紹介しましたが、これがまた予算が足りないといわれ「この先どうするつもりなんだろう」になっていたのです。
住民から「何やってるんだ」の声
で、今回頓挫の危機というのは、ソウル市の住民から「No」の意思表示がなされたのです。
ソウル市の住民で構成された「都市再生廃止と再開発連帯」が、「都市再生区」の指定から解除するようにソウル市議会に1万826人の署名を集めて提出しました。
本件を伝える韓国メディア『亜洲経済(韓国版)』によると、都市インフラが全く改善されないままですでに予算が執行されたものもあり、「何をやっているんだ」との声も上がっているとのこと。
同紙によれば、以下のような具合です。
実際本紙の取材の結果、縫製産業の基盤都市再生として昌信洞に868億ウォン(約84億円:筆者注)が投入されている。
縫製産業歴史館の観光化・展望台事業などが推進されたが、予算の無駄だったと評価されている。
住民は歴史館ではなく、実質的に役立つ教育費・材料費・青年対象のミシンサポートなどを要請したが、いずれも受け入れられないまま広報的な事業のみ推進された。
(後略)
つまり、ありがちなことに行政側はハコモノに走ったわけです。
「都市再生」を政権のレガシーとしたい現政権からすれば腹立たしい限りかもしれませんが、一応住民は意思表明をしており、完全無視というわけにもいかないでしょう。また、ソウル市長は2021年04月07日に行われた補欠選挙で野党側の手に落ちています。この署名をどのように扱うのかは、けっこう見ものです。
(吉田ハンチング@dcp)