韓国企業は中国市場を失いそう。売上41%減少、半導体も29%減少「日本に負ける」という話

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2021年09月06日、韓国の『全国経済人連合会』から興味深いリポートが出ました。韓国企業の中国市場における売上が下がってきており、このままではマズイという話です。

まず注目すべきは、韓国30大企業の対中国売上高が下がっているとしています。以下をご覧ください。

⇒参照・引用元:『全国経済人連合会』公式サイト「最近5年間の企業の、中国ビジネスの動向と課題」
『全国経済人連合会』のリポートを基にMoney1でグラフ化しました(以下同)

ピークとなったのは2018年で対中国売上高は「131.5兆ウォン」(約12.5兆円)。これが2020年には「117.1兆ウォン」(約11.1兆円)まで減ります。

11.0%」の減少です。2年でこの減少幅は確かに大きな下落です。

『全国経済人連合会』では、この減少を「半導体」の売上が下がったことが理由としています。メモリー半導体の対中国輸出金額の推移を見てみましょう。以下になります(韓国はメモリー半導体がメインなので)。

データ引用元は同上

確かにメモリー半導体の輸出金額は2018年の「400.0億ドル」(約4兆3,916億円)をピークに2020年は「283.7億ドル」(約3兆1,147億円)まで下がりました。

29.1%」も減少しています。

また、『全国経済人連合会』は触れていませんが、30大企業の中には当然『サムスン電子』『SKハイニックス』という半導体企業が入っているはずですので、売上に占めるメモリー半導体の割合を比較してみると、以下のようになります(円建てで計算)。

メモリー半導体の占める割合
2018年:35.2%
2020年:28.0%

2020年の方がメモリー半導体のシェアは低いのです。これは、自動車スマートフォンなどが中国市場で着実にシェアを落としてきましたが、半導体でも売上が立たなくなってきていることを示している可能性があります。

中国は躍起になって半導体を自給自足しようとしています。『紫光集団』が破綻したりしましたが、この努力は続いています。つまり、韓国企業の半導体売上はさらに下がる未来が待っています。

韓国企業は日本企業に負けている?

面白いのは、日本企業と韓国企業の比較を行っていることです。以下をご覧ください。日本企業の中国法人、韓国企業の中国法人の売上高推移です。

データ引用元は同上/『全国経済人連合会』の基データは韓国企業がドル建て、日本企業が円建てでしたが2021年09月06日の「1ドル=109.79円」レートでドルに換算しグラフにしました。

上掲のとおり、日本企業の中国法人の売上は2017年の「4,991億ドル」(約54.8兆円)がピークで、2019年には「4,290億ドル」(約47.1兆円)に下落しました。

一方の韓国企業の中国法人の売上は2013年の「2,502億ドル」(約27.5兆円)がピークで、2019年には「1,475億ドル」(約16.2兆円)に下落しています。

日韓のピーク時からの下落幅を比較すると以下のようになります。

日本企業の中国法人:14.0%下落
韓国企業の中国法人:41.0%下落

このような下落幅の差を比較して、『全国経済人連合会』では日本企業に比較して韓国企業は中国での売上、シェアを失いすぎている、と指摘しています。

ちなみに利益率でも韓国は落ちています。同リポートに日韓企業の中国法人の「営業利益率」を比較したデータがありますので以下に引きます。

データ引用元は同上

上掲のとおり、日本企業の中国法人は5%台の営業利益率を守っています(2012.2013年に5%未満に落ちましたが回復/2012年は日本製品の不買運動があった年です)。

ところが、韓国企業の中国法人では「2015年:4.8%」から毎年右肩下がりで、2019年にはついに「2.1%」まで下がりました。

韓国企業にとって中国市場はもうからなくなってきた、のです。

これは中国企業が韓国企業の技術力に追いつき、同等の製品を生産できるようになっており、しかし日本企業にはまだ追いついていないことを示しているものと思われます。また、日本企業がすぐにはまねできないものを中国に売っていることの証明でもあるでしょう。

『全国経済人連合会』はこのリポートを、

(前略)
「両国政府(中国と韓国:筆者注)間の公式・非公式経済協議体を活発に稼動して企業の当面の中国ビジネスの隘路解消、韓中FTAサービス投資交渉(18年3月以降、3年以上進行中)の速やかな妥結など努力しなければならない」

「これにより、企業が文化コンテンツ、水素エネルギー、バイオなどの新成長分野で新しい中国ビジネスチャンスを発掘することができるよう支援しなければならない」

と同連合会のキム・ホンマン国際協力室長の言葉で結んでいますが、中国の政治リスクがかつてないほど高まっている昨今、中国市場にそこまで入れ込むのは考えものではないでしょうか。

本当に韓国が中国に飲み込まれるかもしれませんので。

(吉田ハンチング@dcp)

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