韓国「トルコとの通貨スワップ」はすでに発動しているか

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韓国メディア『朝鮮ニュースプレス』に興味深い記事が出ました。

「トルコのリラ暴落…通貨スワップ韓国の得と実」というタイトルの記事です。

そもそもトルコ・韓国の通貨スワップは「貿易でお互いの通貨を使用できるように」という目的が主眼であり、韓国は自国の企業の貿易のために得がある、と説いており、非常に冷静に両国中央銀行間の通貨スワップについて評価しています。

先にご紹介したとおり、トルコリラが急落しました。そのため「すわ韓国が損をする!」という報道が出ました。

中にはこのトルコ・韓国通貨スワップによって韓国経済が傾くなんていう人までいらっしゃったわけですが、先にご紹介したとおり、基本そんなことにはなりません。

『韓国銀行』が困るのは、スワップが発動し、お互いの自国通貨を交換した後(1回目のスワップ)、『トルコ中央銀行』が「すみません。ウォンを返せません」(2回目のスワップ=スワップバック「返済」ができません)となったときです。

交換して受け取ったトルコリラの価値が通貨安で下がり、ウォンは返ってこないとなります。

しかし、考えてもみてください。損なのは返ってこないウォンです。『韓国銀行』は紙幣を刷れるのです。(印刷した分をどうやって懐に入れるかという手管は考えなければなりませんが)返ってこなくても、それこそ「印刷すればいいじゃん」です。また、たかだか20億ドル規模ですので、それで中央銀行が傾いてどうするんだ、という話です。

――『朝鮮ニュースプレス』の記事に戻ります。この記事の注目ポイントは「通貨危機時に使うことは想定していない」と『韓国銀行』関係者から言質を取っていることです。

以下に記事の一部を引用します。

(前略)
韓銀関係者はトルコとの通貨スワップ協定について、

「一般に米韓通貨スワップが重要なため、米ドルで協定を結ぶ方式が主に認識されているが、トルコ通貨スワップの場合、相互間貿易決済を支援するのが主な機能である。

そのため、韓国ウォンとトルコのリラ間の交換を念頭に置いた形で通貨スワップを締結した」と説明した。

危機時の流動性支援が目的ではなく、貿易決済支援用途が目的であるため、ウォンとリラを直接交換する形で通貨スワップ協定を締結したという説明だ。
(後略)

⇒参照・引用元:『朝鮮ニュースプレス』「トルコのリラ暴落…通貨スワップ韓国の得と実」

先にご紹介したとおりの説明を『韓国銀行』関係者がしてくれています。ですので、トルコとの通貨スワップが原因で『韓国銀行』が傾くなんてことは考えられません(面白くないかもしれませんが)。

しかし、同記事の最重要ポイントは結びの段落。以下の部分です。

(前略)
韓銀関係者は今回の通貨スワップ決定後、韓銀がトルコ中央銀行と実際にどのくらいの外貨を交換したのかについては、「通貨スワップの場合、契約相手がいて相互に尊重すべき部分がある」とし「具体的な内容は公開しない」と明らかにした。

⇒参照・引用元:『朝鮮ニュースプレス』「トルコのリラ暴落…通貨スワップ韓国の得と実」

この記事の書きぶりでは、すでにトルコ・韓国の通貨スワップは発動されて、互いの通貨交換が行われたような発言となっています。

しかし、筆者の探し方が足りないのでなければ、『韓国銀行』は一切そのようなプレスリリースは出していません。

ちなみに、同じように互いの通貨を貿易で使用することを主眼とした中国との通貨スワップでは、発動された際にプレスリリースが出ています(『中国人民銀行』からも出ています)。

念のために挙げておきますが、以下が中韓通貨スワップが初めて発動されたときに、2014年05月30日『中国人民銀行』が出したプレスリリースです。

⇒参照・引用元:『中国人民銀行』公式サイト「中国・韓国間の二国間現地通貨スワップ協定の下で韓国ウォン資金の最初の利用」

果たして、トルコ・韓国通貨スワップはすでに発動しているのでしょうか。

(吉田ハンチング@dcp)

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