韓国よりも悪いどん底景気の中国は、二進も三進もいかなくなっています。
『Reuters(ロイター)』は、来年、2025年に「中国は特別国債を3兆元発行する予定で、これはトランプ政権の誕生による貿易摩擦やデフレ圧力への対応が主な目的」と報じています。
中国が何をしようとしているのかをまとめると以下のようになります。
中国政府は、来年に特別国債を3兆元(約60兆円)発行する予定。
この規模は過去最大であり、アメリカ合衆国のトランプ政権2期目で予想される貿易摩擦やデフレ圧力への対応が主な目的とされる。
特別国債の用途
約1.3兆元:
国家戦略や重点分野(鉄道、空港、農地整備)および大規模設備更新や消費財の買い替え補助に投入。
1兆元以上:
電気自動車、ロボット、半導体、グリーンエネルギーなど先進製造業の育成に使用。
上記で使った分の残り:
国有銀行への資本注入、不良債権問題や利益減少への対策。
地方政府債券の発行計画も進行中
四川省や福建省を含む8つの地方政府が、来年第1四半期に3,000億元以上の地方債を発行予定(ただし、これは過去の10兆元規模の景気刺激策の一環)
背景にある経済状況と懸念
国内では雇用低迷、民間企業の停滞、消費意欲の減少が顕著。北京や上海の小売売上高も大幅減少している。
外資の撤退も加速中で、経済活力の低下が深刻化。内需疲弊と西側市場への進出困難という「二重の圧力」が重なる。
第2期トランプ政権での貿易摩擦への懸念が、特別国債発行の決定を後押ししている。
特別国債を発行して(政府負債を積んで)3兆元まく――というのが主旨ですが、それだけ中国の景気が懸念されているわけです。
ただし、これだけまいても恐らくほとんど効き目がないでしょう。
3兆元まいたところで効かない理由
なぜそう考えられるかというと、ひと言でいえば「構造的な問題が深刻化しているため」です。
1.雇用が低迷している
現在、中国では雇用が低迷しており、消費能力が全体的に落ち込んでいます。
特に民間企業の停滞が深刻で、国有企業への資金注入が中心では、民間経済の活性化につながりにくいです。
民間企業が事業を拡大する環境が整備されなければ、3兆元の投入も経済成長に直接結びつかない可能性があります。
2.資金の投資先が非効率的であるため
●国有銀行への資本注入は効かない
国有銀行への資本注入は、不良債権処理や収益性改善が目的ですが、それが直接的な雇用創出や需要喚起に結びつくとは限りません。むしろ、金融セクターの体質改善にとどまる可能性が高いです。
●特定産業への偏った投資
電気自動車や半導体といった先進製造業への投資は中長期的には有効ですが、内需活性化には即効性が乏しいです。補助金政策も、消費者の購買意欲が低迷している現状では大きな効果が期待できないでしょう。
3.「内需の低迷」と「消費者心理の悪化」のため
現在、北京や上海などの大都市で小売売上高が大幅に減少しています。これは消費者の購買力が低下しているだけでなく、消費意欲そのものが抑制されていることを示しています。
需要が冷え込んでいる状況では、供給側への投資を増やしても経済全体を押し上げることは難しいと考えられます。
4.外部環境が悪化しているため
●米中貿易摩擦の再燃
トランプ政権2期目が発足すれば、中国製品への追加関税や輸出規制が強化される可能性が高まりまっています。外需が縮小すれば、輸出依存型の産業に大打撃となります。
●外国資本の流出
外国投資家が中国市場のリターン低下や市場の不透明性を理由に撤退を進めており、資本流入が減少しています。これが内需や雇用にさらなる悪影響を与えています。
5.財政負担が増大するため
特別国債の発行が財政負担をさらに悪化させ、国債利回りの上昇を招く可能性があります。これにより政府や企業の借入コストが増大し、経済に悪循環を引き起こすリスクがあります。
国家信用格付けの引き下げが現実化すれば、資本流出や通貨安が加速し、さらに経済の不安定要因が増える懸念があります。
――というわけで、3兆元の特別国債は短期的な経済刺激策として投入される予定ですが、内需の低迷や雇用悪化、外資撤退といった構造的な課題が解決されない限り、効果は限定的にとどまる、と考えるべきです。
また、貿易摩擦や財政負担の増加などの外部要因もあり、むしろ新たな経済的不安定要因を引き起こす可能性だってあります。
もう一つ、効かない理由を挙げるなら「中国共産党の汚職、腐敗がひどいので、中抜きされて、必要なところに届かない」です。
特に地方政府や国有企業での「隠れた債務」や不正取引が頻繁に報じられており、これが資金効率の低下につながっています。このような環境ではいくらお金をまいても無駄です。
まさにザルで水を汲むようなものです。
中国経済を良くするなんてことは、中国共産党を倒した方が早く達成できるでしょう。
(吉田ハンチング@dcp)