通貨ウォンが急速に安くなっていますので、韓国では株式市場から外国人投資家の資金が抜けるのではないかと懸念されています。
↑KOSPIの「週足」チャート(2022年09月08日まで)。局面はペナントで、下りのラインを抜けていないと見られます(チャートは『Investing.com』より引用:以下同)。
なぜそうなるかというと、ウォン安が進行すると、市場でいくら株価が上がっても、売却してドルに換えたときに金額が小さくなってしまうからです。
株価が上昇しても為替差損が出る可能性があるので、「ここに資金投入しても無駄だ」「もっともうけが出るよその賭場に移ろう」と株式を売却するわけです。
外国人投資家の皆さんが出ていくときには、ウォンを外貨に換えますので(ウォン売りドル買いを行うので)、ウォン安で困っているというのに、さらにウォン安が進行します。
懸念される外国人投資家のセルコリア(韓国売り)ですが、09月に入ってからかなり売り越しています。
韓国取引所の集計によると……。
KOSPI:1兆1,072億ウォンの売り越し
営業日5日で「1兆1,072億ウォン」ですからかなり精力的に売り越しています。
問題は「これが続くのではあるまいな」です。
Money1で連日ご紹介しているとおり、外国人投資家が売り越すと、たいていの場合株価は下がります。つまり、外国人投資家が売る ⇒ ウォン安進行を支援 ⇒ 外国人投資家が売る――という負のスパイラルに陥る可能性があるのです。
さらに面白いのは、クジラである韓国の国民年金基金も国内市場に投入する資金の比率を減らすという「ポートフォリオ変更」を行おうとしています。
韓国の個人投資家は「外国人が売るから株価が上がらない」「基金が売るから株価が上がらない」とブーブー文句をいいがちですが、さらにこの声が高まるかもしれません。
韓国の金融当局は、「株式市場で資金が抜けても、債券市場には資金流入が続いている」というのですが、本格的に資金が抜け出すと「債券市場は大丈夫だろうな」になります。
資金流出が大きくなると、ウォン安も進んでロクでもないことになります。韓国の場合には、外貨不足を外国からの融資で賄って、後で返済に窮した揚げ句、ドボン騒動を起こしてきました。
今回もその轍を踏まないといいのですが。
(吉田ハンチング@dcp)