韓国すでに「3兆」突っ込んだ計画がパーになると困る。

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韓国には、LCC(格安航空会社)ではない、一般の航空会社は2つしかありません。フラッグキャリアである『大韓航空』と『アシアナ航空』です。

『アシアナ航空』はしばしば韓国第2の航空会社といわれますが、なんのことはない一般航空会社は2つしかないのです。

『アシアナ航空』売却の右往左往と「合併絵図」

2019年に『アシアナ航空』の経営が傾き、二進も三進もいかなくなりました。一応『HDC現代産業開発』が買収を決めたものの、そこに中国発のコロナ禍が来ました。景気が一気に悪くなり、MOUまで交わしたくせに『HDC現代産業開発』が買収をぶん投げました。

コロナ禍の中、『アシアナ航空』の経営はさらに傾きましたが、飛ばすこともできないので、債権団の主幹である国策銀行『産業銀行』がお金を突っ込み続けました。

しかし、いつまでも待っても業績が上向きません。『産業銀行』にしてもいつまでもお金を突っ込むわけにもいかないので、『産業銀行』が動いて『大韓航空』と『アシアナ航空』の合併というウルトラCの絵図を描きました。

どこの馬の骨か分からん会社に買収されるよりはスジのいい絵図で、これを受けて『大韓航空』『アシアナ航空』は、無償減資に有償増資を使って合併に動き出しました。ついでに傘下にあるLCCも合併させてしまうという剛腕な計画です。

ところが、このような大手航空会社の合併には、独禁法に触れないか、影響ある各国から「このM&AはOKです」の許可を取らなければなりません。Money1でもかうてご紹介したとおり、中国などの許可は得たのですが、難敵である3つの国が残ったのです。

EU、アメリカ合衆国、日本です。

日本はともかく、EU、合衆国は航空会社の合併に非常に厳しい判断をします。まずEUなのですが、08月03日には結合審査の結果が出るはずだったのですが、EUはこれを10月に延期(本来は03月結果が08月になりそれがさらに伸びた)。

韓国側はEUの審査に戦々恐々としています。もともと審査が否決されそうではあったのですが、本当に否決されるとこれまで政府が突っ込んできた約3兆ウォンは全て水の泡。またゼロから『アシアナ航空』の売却話を考えないといけなくなります。

「韓国にはメガ航空会社がいるんだ!」という主張

本件について、韓国メディア『NEWSIS』が面白い記事を出しています。「韓国にも『メガ航空会社』が切実に必要な理由」というタイトルです。記事の一部を以下に引用してみます。

(前略)
韓国より人口も多く、市場もはるかに大きい北米と欧州の航空産業は、このように構造調整で体格を大きくし、競争力を高める方式で世界市場を牛耳る「メガ航空会社」を輩出した。

韓国の航空産業も遅ればせながら、競争力を高めるためのメガ航空会社の誕生を進行中だ。

『大韓航空』と『アシアナ航空』の結合がそれだ。

両航空会社が合併すれば、重複路線を効率的に再編し、航空機と人材管理でコストを大幅に削減することが期待されている。これは『大韓航空』の競争力強化につながり、世界市場シェアを引き上げるチャンスとなる可能性がある。

大韓航空は今年中にアシアナ航空を買収するために総力戦を展開している。これまで企業結合審査が必要な14ヵ国のうち11ヵ国で承認を受け、欧州連合(EU)と合衆国、日本の競争当局の審査が最終段階だ。

大韓航空がこの過程で使ったお金だけですでに1,000億ウォンを超える。

今後の過程で最も重要なのはEU当局の審査結果だ。これにより、米国と日本の審査結果も左右されると予想される。

(中略)

すでに航空産業の構造調整を終え、メガ航空会社をすでに誕生させているEUと合衆国が望むのは、結局自国航空会社の利益だ。

(中略)

このような状況で外国当局の審査の壁を越えるには、結局、韓国政府の外交力も必要だ。

(中略)

コロナウイルスの時期に『アシアナ航空』に投入された公的資金だけでも3兆ウォンを超える。

この金額は国民から出た血税だ。

今、韓国の航空産業にメガ航空会社が登場して競争力を高めなければ、またしても国民の血税が公的資金の名目で無駄になる可能性がある。

『大韓航空』と『アシアナ航空』の合併によるメガ航空会社の出現は、実よりも得がはるかに多い。

⇒参照・引用元:『NEWSIS』「韓国にも『メガ航空会社』が切実に必要な理由」

この記者はいろいろ述べていらっしゃいますが、メガ航空会社が誕生すれば国益に叶うと主張していらっしゃいます。『大韓航空』と『アシアナ航空』が合併してメガ航空会社になるのかどうかは疑問ですが、EUが一蹴した場合、『アシアナ航空』に突っ込んだ国民の血税(政府と公的金融機関のお金)がパーになるのは確かです。

韓国航空産業の未来がかかった世紀の合併劇がどうなるのかにご注目ください。

国策の下で国際線を運航する航空会社。その国を代表して国旗を背負って飛ぶ名誉ある航空会社です。

(吉田ハンチング@dcp)

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