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韓国ウォン「対円の高値」さらに進行する異常事態。

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2023年11月16日22:29現在、対円のウォン高がさらに進行しています。以下をご覧ください(チャートは『Investing.com』より引用:以下同/日足)。


↑円-ウォンの直物はないのでクロス円。

とうとう「1円=8.5629ウォン」となっています。

これまでウォン高の進行を遮ってきた支持線が破られてことは先にご紹介しましたが、さらに下にいったのです。戻りませんでした。

毎度おなじみですが、これを月足(ローソク足1本が1カ月の値動きを示す)にして時間軸を引くと以下のようになります。

ついに2008年01月のウォン高水準に到達しました。

月足で見ると、2007年07月の始値が「1円=7.5057ウォン」です。さすがにそこまでいくかどうかは分かりませんが、しかし着実に対円のウォン高が進んでいます。

韓国メディアでは「円安が進行しているが、ウォンは強い」みたいな記事が出ています。

「ウォンは強い」の意味が分かりませんが、対ドルレートでウォンが上がっていたら強い、下がっていたら弱いのだとすると、確かにウォンは直近1年間で他の通貨と比較してウォン高方向に動いています。

以下がアジア主要通貨の直近1年の対ドルレートの変化です(2023年11月16日23:02現在)。


↑チャートの見方は連日Money1でご紹介しているのと同じです。チャート上を上に向かえば、その通貨は対ドルで安く、チャート上を下に向かえば、その通貨は対ドルで高くなっていることを意味します。

ドルウォン:-2.1596%
ドル円:+8.4373%
ドル人民元(オンショア):+2.1414%
ドル人民元(オフショア):+2.1047%
ドル台湾ドル:+2.7447%
ドルインドネシアルピー:-0.2885%
ドルインドルピー:+2.3737%

『Bloomberg』でアジア主要通貨の対ドルのレートを比較すると上掲にようになります。こういうときは『Bloomberg』のチャートが一番きれいに見えますが、確かにドル円レート(青い線です)は最も「円安」に進行しています。

しかし、これは当然の話で、世界中が対インフレで金融引き締め方向であるのに、日本はいまだに緩和方向です。為替レートというのは、基本的には通貨の量で決まりますから、引き締め方向のドル vs 緩和じゃぶじゃぶ方向の日本円では、当然日本円は対ドルで安くなります。

日本ともう1カ国、お金じゃぶじゃぶの緩和方向で、しかも必死な国があります。中国です。中国はもう経済が非常に危なくなっているので、景気浮揚のために必死にお金をまくしかないのです。もっともMoney1でもご紹介しているとおり、お金をまいてもまいても、例えば不動産市場はさっぱりよくなりません。ザルで水を汲むようなもので全く効きません。これはお金がもれているからです。

円とウォンの比較では、円が対ドルで安くなる一方、ウォンが対ドルで高くなるのですから、当然ウォンは対円で高くなっていきます。

韓国メディアはこれを「円は安くなっているけど、ウォンは高くなっているぞ、どうだ」としています。

世にもあほらしい話で、「どうだ」じゃありません。先にもご紹介したとおり、対円でウォン高が進むのはドボン騒動を起こす前触れとなってきた過去があります。対円でウォン高が進行すると、韓国の輸出産業の価格競争力が低下するのです。

「輸出を回復させないと!」と尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領までもが必死になっている状況なのに、日本より強い通貨だバンザイ!じゃないでしょう。

2008年時のレートで対円のウォン高というのも不吉です。当時何が起こっていたでしょうか? 円キャリートレードの巻き戻しです。

金利の激安な日本で円を借りて、それを外貨に換えて投資。それで回っているうちは良かったのですが、円キャリートレードの巻き戻しが起こって、お金の返済フェーズに入ったら……韓国は外貨が足らなくなって、通貨危機に陥ったのです。

結果、アメリカ合衆国はドル流動性スワップを渋々提供し、中国も付き合い、日本も仕方がないので協調しました。挙げ句、日本は助けてやったのに、韓国から「助けるのが遅いんじゃないか」と文句をつけられる始末でした。

ですので、韓国は「日本円より強いウォン」などと言っている場合ではないのです。

(吉田ハンチング@dcp)

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