韓国「K-バッテリー企業」2025年1Q「7.1兆の借入金」増やす。業績が傾いているというのに

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Money1でもご紹介してきたとおり、韓国のバッテリー企業の業績は低迷しています。

理由は電気自動車の需要が低迷しているからです。これからは電気自動車の時代だー」と全振りしたツケです。

需要が目論んだとおりには膨らみませんでしたので、車載用バッテリーを製造していたメーカーも業績が傾いたのです。

韓国のいわゆるK-バッテリー会社のTop3は、『LGエネルギーソリューション』『サムスンSDI』『SKオン』の3社ですが、2025年第1四半期の業績がどのようになっているのかを、毎度おなじみの『DART』から以下に引きます。

『LGエネルギーソリューション』
総売上:6兆2,649億ウォン
営業利益:3,746億ウォン
当期純利益:2,265億ウォン

『サムスンSDI』
総売上:3兆1,768億ウォン
営業利益:-4,340億ウォン
当期純利益:-2,159億ウォン

『SKイノベーション』
総売上:21兆1,465億ウォン
営業利益:-446億ウォン
当期純利益:-1,256億ウォン
『SKオン』は非上場企業で、『SKイノベーション』の子会社。

『韓国金融監督院 公示システムDART』公式サイト

Top3の中では唯一『LGエネルギーソリューション』は黒字ですが、2024年第4四半期には「2021年第3四半期以来およそ3年ぶりの四半期赤字」に陥ったので、うれしい黒転です。

なぜ黒転したかというと、アメリカ合衆国の「IRA」(インフレ削減法)に基づく先端製造生産税額控除(AMPC)による税制優遇を受けたのが大きいです。

AMPCによって「4,577億ウォン」も恩恵がありました。もしこれがなかったら営業利益「-830億ウォン」となるはずでした。

2025年01月に発足した第2期トランプ政権は、同法の主要な施策を停止または縮小する動きを進めています。トランプ大統領は就任初日に「Unleashing American Energy(アメリカのエネルギー解放)」と題する大統領令を発令し、IRAおよびインフラ投資・雇用法(IIJA)に基づく資金の支出を即時停止するよう全省庁に命じました。

『サムスンSDI』『SKイノベーション』は営業赤字です。

――という状況なのですが、面白いデータがあります。

このK-バッテリー3社がそろって資金調達に動いています。

2025年第1四半期時点で、その借入金合計は「49兆6,000億ウォン」に達しました。2024年末時点が「42兆5,000億ウォン」でしたから、3カ月で「7兆1,000億ウォン」増加しました。

2025年第1四半期「借入金残高」
『LGエネルギーソリューション』:17兆6,126億ウォン
『サムスンSDI』:11兆6,155億ウォン
『SKオン』:20兆3,907億ウォン

2025年第1四半期「借入金増加額」
『LGエネルギーソリューション』:+2兆2,220億ウォン
『サムスンSDI』:+377億ウォン
『SKオン』:+4兆7,910億ウォン

――となっています。

一番借入金が増加したのは『SKオン』ですが、同社は合衆国に工場を建設中です。

『フォード』と合弁した『ブルーオーバルSK』を通じて、ケンタッキー州第1・第2工場およびテネシー州工場の計3カ所も建設しているのです。しかも『現代自動車』と共同投資しているジョージア州のバッテリー合弁工場も、2026年前半の稼働を目標に進行中です。

『LGエネルギーソリューション』は、先に少しだけご紹介しましたが、1兆6,000億ウォン規模のウォン建て社債を発行したのが効いた見られます。

『サムスンSDI』は377億ウォンしか借入金は増えていませんが、追加の資金調達のために1兆7,300億ウォン規模の有償増資を実施する予定なのです。

『サムスンSDI』も資金が必要で、調達したお金は、『GM』合弁によるインディアナ州の工場建設、ハンガリー工場の生産能力拡大、全固体電池関連設備への投資などに突っ込む予定です。

電気自動車の需要が縮小して業績も傾いているのですが、投資は継続する見込みなのです。傍から見ていると「そんなに工場を造って大丈夫なのか」ではあります。

電気自動車の需要縮小が長期化する――という話もあって、「K-バッテリーはこの先どうするんだろう」なのですが、一つ、期待できる新需要があります。

「人型ロボット」です。

(吉田ハンチング@dcp)

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