中国・四川省「無敵の人が紡績工場に放火」800元の給料不払いで。当局は否定

広告
おススメ記事

2025年05月20日、四川省屏山経済開発区にある『四川锦裕纺织有限公司(四川錦裕紡績有限公司)』で火災が発生しました。

放火です。

下掲が本件について公安当局が出した警情通報です。

2025年5月20日12時頃、当県で放火事件が発生した。

調査によると、犯罪容疑者・文某(男性、27歳)は当日午前、ある紡績工場の作業場に赴き火を点けて火災を引き起こし、その後現場で対応していた警察官により身柄を拘束された。

作業場内には綿製品が多く、現場は延焼しやすく、消火は困難だったが、全力で消火活動を行い、火勢はすでに制御された。調査の結果、火災による死傷者は発生しない。犯罪容疑者・文某はすでに公安機関により刑事拘留されている。

現在、公安機関は犯行の動機、犯行の過程、および損害状況についてさらなる調査と確認を行っている。

屏山県公安局
2025年5月22日

文某さんが放火した――とはっきり書いてありますが、動機が問題です。

ネット上に拡散された情報、動画によると、文某さんは放火前に賃金問題を巡って工場側と激しく口論し、「俺が生きようが死のうがどうでもいい、お前を死なせてやる」と叫びました。

もう何も怖くない「無敵の人」です。

文某さんの家庭は困窮しており、家族が重病を患っていました。生活が厳しく、母親が病気だったのに、社長が賃金「800元」を支払ってくれなかった――という情報が出て、これがネット上で拡散されました。

「800元」は2025年05月23日のレートで「1万5,832円」です。

↑法輪功系『Radio Free Asia』の『X』アカウントに上がった動画。文某さんの顔も捉えられています。

当局の説明はネット上の情報とは異なる

ただし、当局はネット上の情報を否定しています。中国メディア『封面新闻』の報道では以下のようになっています。

犯罪容疑者・文某(男性、27歳)は、幼い頃から家庭環境や中途退学などの理由により悲観的かつ内向的な性格であり、退学後は両親と一緒に、また一人で出稼ぎをしていた。

今年の春節(旧正月)に興文の実家に帰省した。2025年03月01日、知人の紹介で屏山県内のある紡績工場に入社し、一般作業員として勤務を始めた。

契約では試用期間は3か月、毎月25日に前月の給与を支払うことになっていた。

04月25日、紡績工場は文某に対し、03月分の給与として4,158元を支払った

04月30日、文某は上司の黄某に辞職を申し出、05月15日に退職手続きを完了し、残りの給与5,370元の精算を受けた上で、その場での現金支払いを求めた。

文某の状況を考慮し、財務担当者は前倒し支払いに同意し、規定に従い承認手続きに入った。

05月15日、文某が帰宅後に再び上司に給与の支払いを求めたが、連絡がつかず、そのことで報復心を抱くようになった。

05月20日午前、文某は工場に向かい、2号・3号作業場に放火して火災を引き起こし、その後、刃物で財務担当の雷某磊を刺して負傷させた。

犯罪容疑者・文某は事件当時、現場で直ちに身柄を拘束された。

供述によれば、辞職の理由は「死にたい、人生を終えたい」という感情に起因し、母親に給料を渡した後に自殺するつもりだったという。

自分の願望がすぐに叶えられなかったことで「どうでもよくなった」という破れかぶれの心理状態に陥り、企業に報復する形で自分の人生を終わらせようと考えたと述べている。

現在、文某は検察機関により法に基づき正式に逮捕されており、事件はさらに深く捜査が進められている。雷某磊は治療を受けており、命に別状はない。

ネット上に拡散された情報とはずいぶん話が違います。この報道によると、放火だけではなく、文某さんは人をナイフで傷つけた模様。

ただ、こちらでも「自分の願望がすぐに叶えられなかったことで『どうでもよくなった』という破れかぶれの心理状態に陥り――なので、やはり「無敵の人」だったことは変わりません。

また同記事は以下のように書いています。

ネット上で拡散された「紡績工場が800元の賃金をピンハネし、支払いを引き延ばした」との情報は事実に反する。

ネットユーザーは噂を信じたり拡散したりしないよう強く求める。

公安機関は、デマを流した者に対し、法律に基づいて厳しく処罰する方針である。

当局の説明では、800元のピンハネが放火の動機ではなく、あくまでも工場側は文某さんの要求に応じたのに、たまたま上司に連絡がつかなかったため犯行に及んだ――となります。

(吉田ハンチング@dcp)

広告
タイトルとURLをコピーしました