2025年05月25日、中国重慶市にある「華鉄賓館」というビルが爆破解体されました。
このビルは1952年07月01日に利用が開始された非常に古いビルで、菜園壩駅(重慶駅)周辺の再開発に併せた解体作業でした。
ところが、この爆破解体がまだ中に人が残っているのに行われたのではないか――という疑惑が持ち上がっています。
↑爆破解体された「華鉄賓館」。
↑崩れ落ちる「華鉄賓館」。
↑もうもうと砂埃を舞い上げて崩壊した華鉄賓館。
ビルの爆破解体というので、動画を撮影していた人がおり、その映像の中に白い服を着た人が動いていると指摘されました。
毎度おなじみですが、例えば以下は『X』の罗翔さんの投稿です。
2025/5/25/,中共重庆城建局搞拆迁,拆除重庆菜园坝火车的楼房,竟然没有清出睡在楼里面的流浪者,视频显示至少两名白衣人在楼房倒塌的瞬间慌忙起身奔跑!那么不知道里面还有多少人睡在里面!
2025年05月25日、 中共重慶都市建設局が取り壊し作業を行い、重慶菜園壩駅の建物を取り壊したが、なんと中で寝ていたホームレスを避難させていなかった。動画には、少なくとも2人の白い服を着た人が建物倒壊の瞬間に慌てて立ち上がって走っている様子が映っている! 中にまだ何人が寝ていたのかは分からない!
⇒参照・引用元:『X』罗翔「午後6:45・2025年5月26日」の投稿
↑この動画では確かに白い服を着た人が動いているように見えます。
中にまだ人がいるのにビルを爆破した――とSNS上でまたたく間に拡散されました。中国共産党政府ならやりかねない――な話ではあるのですが……。
しかし、これは「デマだ」という報道が出ています。
中国語メディア『界面新闻』(英語名:Jiemian News)の報道を以下に引いてみます。
(前略)
「重慶デマ打破」からの情報によると、最近、あるネットユーザーがインターネット上で 「重慶菜園壩駅の建物取り壊しで、中で寝ていたホームレスを避難させなかった。動画には少なくとも2人の白い服を着た人が建物倒壊の瞬間に慌てて立ち上がって走っている!」 と投稿し、注目を集めた。しかし、確認の結果、ネット上の情報はデマであることが判明した。
渝中区菜園壩濱江新区建設指揮部に確認したところ、ネット上の動画に登場するビルは重慶駅(菜園壩駅)のランドマークの一つ「華鉄賓館」であり、このビルの5月25日の爆破解体時には中に人はいなかった。
動画中の「白い服を着たホームレス」は、実際には爆破解体前に17階の窓枠にかかっていたホテルのバスタオルで、爆破解体とともに建物が崩れ落ちる際に舞い上がったものであり、誰かが慌てて走っていたわけではないという。
現在、このデマの手がかりは公安機関に引き渡され、さらに調査・処理が行われている。
確認の過程では、「@航拍山城」が撮影した現場動画の中でも、17階の窓枠にかかっていたバスタオルがはっきりと確認できた。
「重慶デマ打破」は、ネットユーザーに対し、インターネット上で情報を発信する際には、真実・客観・正確を守り、デマを作らず、信じず、広めないことで、健全なネット空間の構築に協力するよう呼びかけている。
白い服を着た人が慌てて逃げている――ように見えるのは「バスタオル」だというのです。
しかし、話はこれだけにとどまりません。爆破されたビルの道を一本挟んだビルが被害を受けたのです。住民が帰宅してみると、部屋の壁面にヒビが入るなど「大丈夫なのか」という様相となっていたのです。
この被害は実在することが確認されています。当局が以下のような状況通報を出しているからです。
状況通報
作業計画に基づき、05月25日、当委員会は専門機関を組織し、厳格に爆破解体施工方案に従い、莱園駅周辺の関連建物の爆破解体を実施した。
爆破解体後、予めの計画に従って周辺建物に対して例行安全検査を実施したところ、住民から周辺の一部住宅にひび割れが発生したとの指摘を受け、当委員会は重く受け止め、直ちに関連部署と専門技術者を現場に派遣し現場調査と確認を行った。
爆破解体箇所周辺の住宅建物全体について安全評価と系統的検測・観察を行い、爆破解体前の監測データと比較し、さらに現地住民への聞き取り調査を組み合わせたところ、現時点で重大な構造安全上のリスクは確認されていない。
住民から反映された一部住宅の内壁の亀裂などについては、現在一つ一つ調査を進めている。
住民の生命財産の安全は重く重大なものである。
われわれは常に住民の利益を最優先に置き、今後も関連住宅建物の安全評価・監視を引き続き徹底し、住民から指摘された問題には迅速に対応し、住民の住宅安全と合法的な権益を断固として守り抜く所存である。
渝中区住宅・都市建設委員会
2025年5月27日
毎度のことですが、やる気があるのかないのか、よく分からない当局の対応です。気になるのは「華鉄賓館」の中に本当に人はいなかったのか?――です。
ぜひ読者の皆さまも、上掲の動画を見てみてください。これは人に見えますか?
(吉田ハンチング@dcp)