中国「異常気象」の現状。中国は確実に暑くなっている

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2025年、中国ではあっちでは干魃、こっちでは水害――という異常気象に見舞われております。

都度都度つどつどに「100年に一度の……」「未曾有の……」と惹句じゃくが付くわけですが、毎年起こるなら年中行事です。

Money1でもご紹介しましたが成都や北京は時ならぬ雹害に見舞われましたし、小麦の産地では干魃、南部では恒例の水害です。『中国 国家气候中心』が05月の異常気象を総括し、06月の予測を出していますので、これを以下に引いてみます。

一、05月全国平均気温は高め、降水は多め

1.気温の偏高
05月(05月1日~29日、以下同)全国平均気温は17.2℃で、例年同期比で0.9℃高く、1961年以降歴代2位の高水準(図1)。

華北西部、東北北部以外の大部分地域では例年比で0.5~2.0℃高く、特に華南、華中南部、西南東部では最も高くなった(2.0℃超)

西南西部、華北西部、東北北部などの局地では例年比で0.5℃程度低めだった。

北京市の05月平均気温は21.4℃で、歴代最高記録を更新、南昌市は24.9℃で歴代2位、貴陽市は19.7℃で歴代最高記録だった。

全国292の観測点が歴代最高記録を更新。

2.南方では多くの強い降雨プロセスが発生
全国平均降水量は71.3ミリで、例年同期比8.6%増。東北地区東南部、華北東部、華東中部、華中中部、西南地区西南部および西部内陸部、チベット大部などでは例年比2割から2倍、内蒙古は約2倍以上。

北京の降水量は1961年以来05月としては最少で、観測史上最少記録を更新、南京・西安・貴州なども52の観測地点で05月として歴代最少降水量を更新(記録更新値は10.1ミリ)。

一方、南方では広範囲かつ強い降水が繰り返し発生。広東・広西・湖南・貴州・重慶・四川・雲南・貴州などの地域では局所的な大雨が多発梅雨入りが例年より早かった。

出典:『中国 国家气候中心』

まず温度ですが、例年より高温である――としています。以下をご覧ください。「05月全国平均気温の歴年同期変化(1961~2025年)です(データは同じく『中国 国家气候中心』から)。

グリーンの水平線が1991~2020年の「05月の平均気温」ですが、上掲のとおり明らかに「暑く」なっています。ちなみに05月01~29日の平均気温の分布は以下のようになっています。

中国本土を横断するように中央部分の高温のエリアが走っていることが分かります。

次に降水です。

南部では大雨に見舞われている一方で北京は(05月としては)降雨が過去最低。しかも降ったら降ったで大型の雹でした――みたいなヘンテコなことになっています。

上掲は降雨量の推移で、1991~2020年の平均が赤い水平線です。

確かに2025年は過去平均よりは多いですが、降雨量の偏在が以下のように確認されています。

これは、その年・その月の降水量が、過去の「平年値」(1991~2020年)と比べてどれくらい多いか・少ないかを百分率(%)で示した地図です。例えば2025年05月が50mmで、平均値が100mmであれば「-50%」ですから、地図上は「赤色」になるというわけです。

【凡例(単位:%)】
■ 濃赤色:-80 ~ -60
■ 赤色:-60 ~ -40
■ 橙色:-40 ~ -20
■ 黄色:-20 ~ 0
■ 黄緑色:0 ~ 20
■ 緑色:20 ~ 50
■ 水色:50 ~ 100
■ 青色:100 ~ 200
■ 濃青色:200 以上

赤系が降雨量が例年割れですので、中国中央部を東西に分断して降雨量が少ないエリアがあることが分かります。

高温の影響は続く!

ばつ、高温への備えが必要――という話です。同じく『中国 国家气候中心』から以下に引用します。

三、陝西・甘粛・寧夏などの地域で干ばつ段階の気象条件が続発

04月下旬から05月上旬にかけて、多くの地域で降水量が少なく、南方の大部分は気象的干ばつは基本的に緩和されたが、甘粛東部、陝西南部、河南南部、山西南部、ウイグル南部などの地域では干ばつが続発。

ここ最近、北京や河北北部などの地域でも降水量が少なく、干ばつが現れている。

現在、河北北部、河南中部、華中北部や西部など一部地域では中・軽度の干ばつが残っており、華中北部や西部、黄淮中西部などでは、気象干ばつによる作物の生育への影響が出ており、局地的には農業用水や飲料水、生活用水に影響が及んでいる。

四、黄河流域で過渡的な高温の影響が目立つ

05月19日~27日、黄河流域は今年初めての高温過程に入り、華中北部、華北北部、黄淮西部、関中南部、南疆盆地などでは、黄中河中游(43.2℃)、河南沁陽(43℃)などの歴史的高温を記録。

今後しばらくは華北、華中北部、黄淮中西部、河南中部、陝西中・南部、山西南部などで中・強度の段階的高温現象が続き、農業生産や電力供給、人体健康などへの影響が警戒される。

五、06月は対流性天気と4回の砂嵐が多発

05月、全国的に対流性天気の過程が18回発生し、華中、黄淮、東北東部などでは平均で1地点あたり4回の強対流性天気が発生(平均2.7回を超える)、特に05月08~09日のには強い砂嵐レベルに達した。

――というわけで、あっちでは干魃こっちでは水害というのが中国の気候状況です。

(吉田ハンチング@dcp)

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