韓国産の防空システムが素晴らしい性能を示した――と韓国メディアが自慢げに報じています。本当に?――という話ですが、まず『朝鮮日報』の記事から一部を以下に引いてみます。

↑UAEに配備された韓国産の天弓II。
海外主要メディアがイラン戦争を契機に韓国防衛産業の底力が証明されたとして注目している。
米国製兵器より相対的に安価である上、生産速度も速く、今回のイラン戦争で実戦能力まで立証されたことで、今後も需要が続くとの評価が出ている。
米紙『ニューヨーク・タイムズ(NYT)』は02日「イラン戦争、韓国防衛産業の底力が浮き彫り」と題する記事でこのように分析し、その事例として国内企業LIGネクスワンの防空システム天弓-Ⅱに言及した。
天弓-Ⅱは今回の戦争以前には一度も実戦で使用されたことがなかったが、アラブ首長国連邦(UAE)で迎撃目標となったイランのミサイルとドローン30機のうち29機を撃墜し、国内外の注目を集めた。
(後略)
Money1でも先にご紹介しましたが、「アラブ首長国連邦(UAE)で迎撃目標となったイランのミサイルとドローン30機のうち29機を撃墜した」の主語が「天弓-Ⅱ」になっているのが、まず間違っています。
UAEの国防省が出したプレスリリースでは、UAEに配備された防空システムが弾道ミサイル・ドローンの迎撃成功率が90%以上に達したことを示しました。しかし、この中には、どのミサイルがどのくらいの迎撃率だったのかは書かれていません。
UAEには、パトリオット・アロー・天弓IIが配備されており、公式には個別に分析されたデータは示されていないのです。WAM(国営・公式通信社である『Emirates News Agency:エミレーツ通信』/UAE国防省の発表を以下にまとめてみます。
UAEは「137発の弾道ミサイル、209機のドローンを撃破」と発表。
ただし内訳は「UAEの空軍・防空部隊」であり、個別兵器名なし。
弾道ミサイルは137発検知、132発撃破、5発海上落下。ドローンは209機検知、195機迎撃、14機落下。
03月04日発表
弾道ミサイル189発検知、175発撃破、13発海上落下、1発国内着弾。ドローン941機検知、876機迎撃、65機国内落下。
03月08日発表
累計で弾道ミサイル238発検知、221発撃破、15発海上落下、2発国内着弾。ドローン1,422機検知、1,342機迎撃、80機国内落下。
これもシステム別内訳なし。
05月08日発表
累計で「551発の弾道ミサイル、29発の巡航ミサイル、2,263機のUAVを迎撃」と発表。
ただし、これも防空システム全体の数字で、パトリオット/アロー/天弓IIの内訳はありません。
05月19日発表
過去48時間に6機のUAVを迎撃。05月17日のバラカ原発関連では3機のUAVのうち2機を迎撃、1機が発電機に命中と説明。ただし、使用兵器名なし。
天弓IIが本当にそんなに命中したのか?――です。
この『朝鮮日報』の記事が引いている『ニューヨーク・タイムズ』の記事というのが「韓国メディアによると……」というものなのです。

つまり、韓国メディアが「天弓の命中率が90%超える」と報じ、それを引いて『ニューヨーク・タイムズ』が記事にし、また韓国メディアが「『ニューヨーク・タイムズ』が天弓の命中率を素晴らしいと書いた」と報じた――という、これぞエコーチェンバーみたいな構造になっています。
さて、韓国が自画自賛している天弓IIは本当に「韓国防衛産業の底力が証明された」のでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)





