韓国半導体メーカーの世界シェアは本当に高いのか?

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韓国を支える「輸出品目」の中でも特に重要視されているのが「半導体」です。

韓国の半導体メーカーといえば『サムスン電子』や『SKハイニックス』が有名ですが、国を代表する2つのメーカーの世界シェアはどのように推移しているのでしょうか?

韓国の二大メーカーのシェアは2019年に急落した

現在シェア上位を占めている主要半導体メーカーの「シェア推移」を、2015年から2019年までの期間でまとめてみました。

データ出典:『Gartner』
ブロードコムは2016年にAvagoが買収した後にブロードコムと企業名を変更

上のグラフを見ても分かるように、アメリカ合衆国企業『インテル』(青のライン)と韓国企業『サムスン電子』(オレンジのライン)の2強の状態です。

パソコン用CPUなどで世界ナンバーワンシェアを持つ『インテル』は2016年まで25年連続でシェアトップに君臨してきましたが、2017年にDRAMなどメモリー半導体を主力とする『サムスン』が逆転。DRAM以外にも安価なNAND型フラッシュメモリーにも注力したことが功を奏し、大きくシェアを伸ばしました。

これには暗号資産『ビットコイン』の「マイニングブーム」が大きな影響を与えました。

『サムスン電子』は翌2018年も『インテル』を抑えてシェアナンバーワンを獲得しますが、2019年に首位から陥落。『インテル』が再びトップを奪い返しました。

『サムスン電子』のシェアが落ちた原因はメモリー半導体市場の低迷です。マイニングブームもピークを超え、『サムスン電子』がトップに立った2017年の時点で、すでにメモリー市場はその後の頭打ち、さらには売り上げの低下が予想されていました。

実際に2019年はメモリー市場は大きく低迷。2018年と比べて売上高が約30%も下がりました。この年は半導体市場全体がマイナス成長に落ち込みましたが、特にひどかったのがメモリー市場だったのです。

そのためメモリーを主力とする『サムスン電子』が大きな影響を受け、1年で3%もシェアが下がってしまいました。システム半導体が主力の『インテル』は大きなダメージを受けず、急降下していくライバルを尻目に再びトップに立ったというわけです。

SKハイニックス』(グレーのライン)もメモリー半導体が主力のメーカーです。そのため、『サムスン電子』と同様に2018年までは順調にシェアを拡大しましたが、2019年は低下。2.3%もシェアを落としました。

売上高で見ると以下のようになります(単位は百万ドル)。

データ出典:『Gartner』

『サムスン電子』の2019年の売上高は約522億ドルで、前年比マイナス29.1%と急激に落ちています。2020年1月の通期決算では営業利益は2018年より5割も下がったと報告しています。

『SKハイニックス』も2018年と比べると約140億ドルも下がっており、2019年の営業利益は『サムスン電子』を大きく超える87%減となっています。両社共にこれまで順調に成長していましたが、メモリー市場の低迷によって深刻なダメージを受けてしまいました。

「合衆国・中国対立」の余波が韓国企業に及ぶ可能性がある

世界半導体市場統計(World Semiconductor Trade Statistics)は、2020年の半導体市場は回復の兆しがあり、プラス成長が見込まれるとしています。メモリー市場も新型コロナの影響で在宅勤務や巣ごもりが増えたことで需要が拡大し、市況も回復すると予想されています。

しかし、コロナの影響で状況はどう転ぶか分かりません。さらにアメリカ合衆国と中国の対立が深まっており、アメリカ合衆国は「中国企業に半導体を渡すな!」という姿勢を強化しています。

仮に、韓国企業に対しても「中国企業に半導体を渡すな」と規制された場合、再び市場がマイナス成長に転じる可能性があります。仮に2年連続で大幅収益減となれば、『サムスン電子』も『SKハイニックス』も厳しい状況に陥るでしょう。

(中田ボンベ@dcp)

データ出典:
⇒Worldwide Semiconductor Revenue Declined 2.3 Percent in 2015, According to Final Results by Gartner
https://www.gartner.com/en/newsroom/press-releases/2016-04-05-worldwide-semiconductor-revenue-declined-2-percent-in-2015-according-to-final-results-by-gartner

⇒Worldwide Semiconductor Revenue Grew 2.6 Percent in 2016, According to Final Results by Gartner
https://www.gartner.com/en/newsroom/press-releases/2017-05-15-worldwide-semiconductor-revenue-grew-2-percent-in-2016-according-to-final-results-by-gartner

⇒Gartner Says Worldwide Semiconductor Revenue Grew 21.6 Percent in 2017 as Samsung Takes Over No. 1 Position
https://www.gartner.com/en/newsroom/press-releases/2018-04-23-gartner-says-worldwide-semiconductor-revenue-grew-22-percent-in-2017-as-samsung-takes-over-no-1-position

⇒Gartner Says Worldwide Semiconductor Revenue Grew 12.5 Percent in 2018
https://www.gartner.com/en/newsroom/press-releases/2019-04-10-gartner-says-worldwide-semiconductor-revenue-grew-12-

⇒Gartner Says Worldwide Semiconductor Revenue Declined 12% in 2019
https://www.gartner.com/en/newsroom/press-releases/2020-04-15-gartner-says-worldwide-semiconductor-revenue-declined-12-percent-in-2019#:~:text=Worldwide%20semiconductor%20revenue%20totaled%20%24419.1,memory%20market%20down%2032.7%25%202019.

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