通貨安で緊急の利上げを繰り返したアルゼンチン。政策金利を40%にすると発表した05月07日にはいったん止まったのですが、その後もずるずると安値更新を続けています。
アルゼンチンの通貨「アルゼンチンペソ」の動きは下のようになっています(チャートは『Investing.com』より引用)。
「6.75%」の金利上げを発表した05月07日には前日よりも上昇幅はずいぶん抑えられ、通貨安は止まったかに見えました。しかし、08日・09・10日・11日と上昇は止まっていません。
■IMFが動き出す! 支援は300億ドル・金利約4%か
05月10日にはワシトントンにおいて、IMFのラガルド専務理事(Christine Madeleine Odette Lagarde:フランス人・上掲の写真)がアルゼンチンのドゥホブネ財務相(Nicolás Dujovne)が率いるチームと会談を行っています。
報道によれば、アルゼンチン側は「SBA」(Stand-by Arrangement:スタンドバイ取り決め)を希望しているとのことです。「スタンドバイ取り決め」というのは、「一時的、短期もしくは周期的な赤字に対して中期的な国際収支の支援を行うこと」です(この面倒くさい定義は国際連合広報センターより引用:記事末のURLを参照)。
簡単にいえば「直近でお金が足りず赤字になっているのでお金を貸してほしい。借金は中期的なプランで返済するので」ということです。「短期では返せないし、ただ長期にはならないからね」というのがポイントです。
支援の規模は300億ドルで約4%の金利という報道ですが、これは05月11日のレートでいえば(1ドル=23.0110ペソ)「約6,900億ペソ」(日本円で約3兆2,700億円)になります。
アルゼンチンのカプト金融相(Luis Caputo)は、IMFからの融資を受けることで、マクリ大統領(Mauricio Macri)の1期目の終わりまでの資金が確保できるという見方を公表しています。しかし舞台裏はそんな先のことを見越した悠長な話ではないでしょう。
05月16日に満期を迎える中銀債務が約6,740億ペソ(約3兆2,500億円)があるとのことで、恐らくはこれの手当も危ういのではないでしょうか。というわけで、アルゼンンチンのドタバタはまだ始ったばかりです。
■実は「トルコ」でも通貨安が進行中!
アルゼンチンと同様に通貨安に見舞われているのが「トルコ」です。トルコの通貨「トルコリラ」の動きは以下のようになっています。(チャートは『Investing.com』より引用)。
もともとトルコは非常にインフレ・通貨安が発生しやすく、かつてはトルコリラの紙幣に「ゼロがいくつあるんだよ!」というような国でした。2004年にインフレ率が「8.60%」に低下するまでは(それでも8%超!)、
●トルコのインフレ率
2003年:25.34%
2002年:45.13%
2001年:54.25%
2000年:55.04%
1999年:64.87%
1998年:84.72%
1997年:85.65%
⇒データ出典:『International Monetary Fund』
http://www.imf.org/external/pubs/ft/weo/2018/01/weodata/weorept.aspx?pr.x=64&pr.y=5&sy=1980&ey=2018&scsm=1&ssd=1&sort=country&ds=.&br=1&c=186&s=PCPI%2CPCPIPCH&grp=0&a=
という、日本人からすれば信じがたいほどインフレ率の高い国なのです。ちなみにインフレ率が高いのは現在も同じで直近5年を見てみても、
●トルコのインフレ率(直近5年)
2013年:7.49%
2014年:8.86%
2015年:7.67%
2016年:7.78%
2017年:11.14%
となります。「なんだこりゃ!」と思われるでしょうが、トルコはこのようにいまだに高いインフレ率で(しかも直近ではじわじわ上昇中:2018年は暫定で11.39%)通貨安が進行中なのです。トルコも事態がさらに悪化すれば、アルゼンチン同様IMFに支援を求めるかもしれません。
⇒データ参照・引用元:『国際連合広報センター』「安定のための融資」
http://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/economic_development/financing_for_stability/
(柏ケミカル@dcp)