韓国『LG化学』のバッテリー事業部門が独立。『LG化学』の完全子会社となった『LGエネルギーソリューション』が株式を上場することになりました。韓国取引所は同社から上場予備申請書を受け取ったことを明らかにしています。
韓国メディアからは早くも時価総額が50~100兆ウォン(約4兆9,000億~9兆8,000億円)になるだろうという予想が出ていますが、こればかりはフタを開けて見ないと分かりません。
今の段階では取らぬ狸の皮算用です。
先にご紹介したとおり、『LGエネルギーソリューション』を分離したぶん価値が薄まるため、また外資系金融企業が目標株価を下げたため、親会社の『LG化学』の株価は下がりました。
↑『LG化学』の株価チャート(『Investing.com』より引用)
『LGエネルギーソリューション』はIPO(新規株式公開)によって得られた資金を新たな投資に向ける旨を表明しています。
韓国企業はシェアを維持できるのか?
問題は、電気自動車用バッテリーの分野で『LGエネルギーソリューション』が現在の地位でとどまり続けることができるだろうか?という点です。外資系金融企業が気にしているのも実はこの点です。
韓国では『サムスンSDI』『SKイノベーション』『LGエネルギーソリューション』の3社が世界的電気自動車用バッテリー企業ということになっています。以下が2021年第1四半期の電気自動車のメーカー別シェアです。
第1位 『CATL』:31.5%
第2位 『LGエネルギーソリューション』:20.5%
第3位 『パナソニック』:16.7%
第4位 『BYD』:6.8%
第5位 『サムスンSDI』:5.3%
第6位 『SKイノベーション』:5.1%
第7位 『CALB』:2.7%
第8位 『AESC』:2.1%
第9位 『GuoXuan』:1.9%
第10位 『PEVE』:1.3%
その他:6.0%
※データ出典『SNEリサーチ』
『LGエネルギーソリューション』は第2位につけています。しかし、ここからです。中国では中国企業が電気自動車のバッテリーシェアを伸ばしています。なにせ世界第2位の自動車市場ですので、ここを取らないといけないのですが、中国企業の隆盛に押されています。スマホと同じで、恐らく中国市場からは徐々に、しかし確実にシェアをなくすでしょう。
雨後のタケノコのようにある中国の電気自動車企業が自国のバッテリー企業を選択するからです。
欧州市場では、世界第一の自動車メーカーを『トヨタ』と争う『フォルクスワーゲン』がいます。『フォルクスワーゲン』は先にご紹介したとおり、自社で約8割のバッテリーを賄うことを宣言しています。それに向かって動き出せば、現在のように韓国企業製電気自動車用バッテリー売れるかどうか、です。
ただし、電気自動車がメインになって全体のパイが大きくなりますから、ボリューム拡大の恩恵は受けることはできると考えられます。
つまり、韓国企業の本当の戦いはこれからです。『LGエネルギーソリューション』も努々(ゆめゆめ)上場ゴールなんてことは考えない方がよいと思われます。実際に『LGエネルギーソリューション』が上場して時価総額がいくらになるのか、にご期待ください。
(吉田ハンチング@dcp)