中国との通商協議が長引いているアメリカ合衆国ですが、トランプ大統領が進めてきた対中国の戦いが合衆国内でも大きな動きになろうとしています。Money1でもしばしなお伝えしてきましたが、中国共産党が推進する「技術の強奪」や「知的財産権を保護しない姿勢」を変更させるべく、ホワイトハウスだけでなく超党派の議員が動いているのです。
03月25日には、議会で「Committee on the Present Danger:China」(現在の危険に関する委員会:中国)が設置されました。
ちなみに危機委員会は、以下のようにこれまで3回設置されたことがあります。
第1回 1950年:ハリー・S・トルーマン政権下 対ソ連
第2回 1976年:ロナルド・W・レーガン政権下 対ソ連
第3回 2004年:ジョージ・W・ブッシュ政権下 対テロ
「危機委員会」が設置されるのは実に15年ぶりのことで、合衆国の地位を危うくしようとする中国を明確に「危機」であると認定したわけです。
また、今回の危機委員会の目的は、公的な教育と中国政府によってもたらされた従来型および非従来型の危機から合衆国を守ること、としています。
ちょっと分かりづらい表現ですが「公的な教育」が入っているところがミソで、浸透工作などを指していると思われます。合衆国の大学に設置された「孔子学院」などによって中国共産党シンパの拡大が行われているとされますが、そのような工作を阻止することを念頭に置いたものでしょう。また「非従来型の」という表現は、「サイバー攻撃」などの、これまでにない手段によって起こされる危機を指したものと考えられます。
同委員会は、さっそく以下のような声明を発しています。
The trade deal the Trump administration is now negotiating with China is expected to address its Communist Party’s longstanding practice of stealing American intellectual property—the life-blood of our information-based economy and a key component of our national security.
今トランプ政権が中国と交渉中の貿易協定には、長年合衆国の知的財産を盗んできた共産党の慣行を改めさせることが期待されている。この合衆国の知的財産は、我々の情報経済の生命線であり、国家安全保障のキーコンポーネントなのだ。
It remains to be seen whether any new commitments from the Chinese to end this practice will be honored since past ones have not.
この慣行を終わらせるという新しい約束を中国が尊重するかどうか、これは見極めなければならない。過去にそのような例がないのだから。
合衆国はマジです。本気で中国共産党の浸透工作を阻み、知的財産の強奪といった商習慣を変更させるつもりなのです。また目的を達成するためならどんな圧力も掛けるでしょう。中国はどこかで合衆国も妥協するだろうと考えているかもしれませんが、それはかなり「甘い見方」といえるのではないでしょうか?
(柏ケミカル@dcp)