「パリパリ」と拙速をよしとする実に韓国らしい話ですので、ご紹介します。
2022年01月11日、韓国光州で起こった39階建て高層マンションの崩壊事故。韓国社会に与えた衝撃は大きく、原因究明が進んでいます。
韓国メディア各紙が追っていますが、「コンクリートの養生期間が足りなかったのではないか」という疑念を裏付ける作業日誌が公開されました。
また、事故当時39階ではコンクリの打設工事が行われていたのですが、その下では施工時の加重を支えるための束柱が撤去されました。これが崩壊を起こした原因ではないのか、という指摘もあります。
『建設労組光州全南本部』が公開した「光州広域市西区花亭現代アイパーク201棟 コンクリート打設日誌」によると、工事は以下のように進行しています。
2021年12月03日:36階のスラブ打設(10日後)
2021年12月10日:37階のスラブ打設(7日後)
2021年12月16日:38階のスラブ打設(6日後)
2021年12月24日:38階の上のピット階の打設(8日後)
2022年01月11日:事故発生:39階のスラブ打設(18日後)
(同日:38階とピット階の束柱が撤去される)
スラブは「床版」のことで、床の加重を支えます。鉄筋コンクリート建築の場合には、通常中に鉄筋を入れてコンクリートで固めて強度を高めます。
注目されるのは、コンクリートの養生期間が冬だというのに短いことです。作業日誌からは35-38階の最上層部の床スラブの養生期間が「6-10日」ほどしかなったのです。
本件を報じた『朝鮮日報(日本語版)』の記事から一部を引用します。
(前略)
作業日誌によると、冬に施工された35-38階の高層階の床コンクリート養生期間が6-10日ほどだったことも分かった。これは施工会社のHDC現代産業開発が今月12日「201棟の打設は事故発生日を基準に12-18日にわたり十分な養生期間を確保していた」と説明した内容と矛盾する。
現代産業開発は当時「38階の天井(ピット階の床)は18日かけて養生が行われた」「これは必要な強度を確保するのに十分な期間だ」と主張した。
しかし35-38階床の養生期間については明らかにしなかった。
専門家や業界関係者は「気温が零下になる冬の時期は夏とは違って最低でも10日から2週間以上の十分な養生期間が必要だ」と指摘する。
光州大学建築工学科のソン・チャンヨン教授は「気温によって変わるが、冬の場合は通常だとコンクリートがすぐに乾かないので、2週間ほど養生しないと必要な強度が得られない」「1週間前後の間隔で1階ずつ上がったとすれば、これは養生が不十分だったことを意味する」と説明した。
(後略)⇒参照・引用元:『朝鮮日報(日本語版)』「コンクリート打設日誌を公開、2週間かかる養生を6日で終えていた…光州市新築マンション外壁崩落事故(上)」
急いで造ったので、コンクリートの強度が足りなかったのではないか、というわけです。追報が出たらまたご紹介いたします。
(吉田ハンチング@dcp)