韓国への輸出管理問題で「り地域」という言葉がニュースに登場するようになりました。「り地域」とは、経済産業省の規定する「安全保障貿易管理」上の国の区分です。
日本は世界各国にさまざまな製品を輸出していますが、テロリストに利用されて兵器になる、また核兵器の生産に転用されるような製品は、日本の安全保障にとっての脅威になりますから、当然「管理」しなければなりません。
テロリストが仕切っている国や日本に不利益をもたらすような国には輸出するわけにはいきませんね。そこで、経済産業省では輸出許可の申請署を作成する際には、その製品を「どの国に輸出するのか?」を明記させており、それによって書類(書式)が異なります。
この輸出先を「仕向地」といいますが、仕向地を「いろはにほへとちり」という、「いろは」(補助として①②……を用いる)の文字で区分しているのです。
例えば「い地域①」は以下の26カ国です。
アイルランド、アメリカ合衆国、アルゼンチン、イタリア、イギリス、オーストラリア、オーストリア、オランダ、カナダ、ギリシャ、スイス、スウェーデン、スペイン、チェコ、デンマーク、ドイツ、ニュージーランド、ノルウェー、ハンガリー、フィンランド、フランス、ブルガリア、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、ルクセンブルク
G7の全て、G20からアルゼンチン・オーストラリアが「い地域①」に入っています。
「り地域」は韓国用の区分
今回の「韓国への優遇措置撤廃」によって、「り地域」という「大韓民国」ただ一カ国のための区分ができました。
韓国はもともと「い地域①」にも入っていたのですが、「り地域」区分を作って分離し※、07月01日公布、07月04日施行の「『輸出貿易管理令の運用について』等の一部を改正する通達について」に基づいて輸出管理を行うこととなりました。
これは申請書類の審査を分かりやすくするための処理だと推測されます。「り地域」へ向かう輸出品はしっかりチェックするよ!という経済産業省(そして経済産業局)の意思表明ですね。
※
韓国は現区分「と地域①」にも入っている。この「と地域①」はアメリカ合衆国、イギリス、ロシアなど非常に多くの国々を含む大きな区分である。詳細な区分については、以下のURL「仕向地」を参照のこと。
⇒引用元:『経済産業省』「輸出貿易管理令の運用について 新旧」
https://www.meti.go.jp/policy/anpo/law_document/tutatu/190701_1.pdf
⇒参照・引用元:『経済産業省』「安全保障貿易管理 Export Control」「仕向地」
https://www.meti.go.jp/policy/anpo/apply08.html
(柏ケミカル@dcp)